法人手続

株式交換契約書に印紙は必要?契約書作成時の注意点を解説

株式交換

会社のM&Aやグループ再編の手法の一つとして 「株式交換」 が利用されることが増えています。株式交換を実施する際には、株式交換契約書 を作成するのが一般的ですが、「この契約書には 印紙税 が必要なのか?」という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか?
結論から言うと、合併や会社分割と異なり通常の株式交換契約書には印紙は不要ですが、契約書の内容によっては印紙税がかかるケースもあるため、注意が必要です。

そもそも株式交換契約書とは?

株式交換契約書とは、ある企業が他の企業の株式を100%取得し、完全子会社化するための契約書です。M&Aの際に多く利用されるスキームであり、株式を対価として発行するため、現金の移動を伴わないことが特徴です。
株式交換では、「A社の株主が持つ株式と、A社を買収するB社の株式を交換する」 という形で、A社がB社の完全子会社になります。

株式交換契約書に印紙は必要?

結論として、通常の株式交換契約書には印紙は不要です。

【理由】印紙税法上の「課税文書」に該当しないため
印紙税法では、課税対象となる契約書の種類が定められています。具体的には、以下のような契約書が印紙税の課税対象です。

・ 売買契約書(不動産・動産の譲渡を伴うもの)
・ 金銭の貸借に関する契約書(借用書・消費貸借契約書など)
・ 請負契約書(建設業の請負契約など)

株式交換契約書は 「売買契約書」や「金銭の受取に関する契約書」には該当しない ため、印紙税は課されません。

印紙税がかからない契約書の例

・株式交換契約書(純粋に株式のみを交換する契約)
・役員変更に関する契約書
・株主総会議事録

株式交換契約書は印紙税の課税対象ではないため、印紙を貼る必要はありません。

印紙税がかかるケースもある?注意すべき契約内容

ただし、契約書の内容によっては印紙税がかかるケースもあります。以下のような場合には注意が必要です。

(1)金銭や不動産の譲渡を伴う場合
株式交換の契約に 金銭や不動産の譲渡が含まれる 場合、その契約書は 「売買契約書」 や 「譲渡契約書」 に該当し、印紙税の課税対象となる可能性があります。

例:印紙税がかかるケース
・ 株式交換に加えて、不動産を移転させる契約を含む場合
・ 対価として一部を現金で支払う内容がある場合

(2)金銭消費貸借契約が含まれる場合
株式交換に関連して、「債務の引受」や「金銭の貸借契約」 を盛り込んでいる場合、金銭消費貸借契約書に該当し、印紙税が必要になる ことがあります。

例:印紙税がかかるケース
・ 「株式交換と同時に〇〇億円の金銭を貸し付ける」などの記載がある場合
・ 「株式交換後に〇〇の債務を引き受ける」内容が含まれている場合

ポイント
契約書の中に 金銭の受け渡しや不動産の譲渡に関する記載がないか を必ずチェックしましょう。

株式交換契約書作成時の注意点

株式交換契約書を作成する際には、以下の点に注意しましょう。

・ 契約書の内容を明確にし、金銭や不動産の譲渡が含まれないようにする
・ 金銭のやり取りが必要な場合は、株式交換契約書とは別の契約書として作成する
・ 専門家(税理士・弁護士・公認会計士など)に事前に確認する

もし 「契約書に印紙が必要か不安」 という場合は、専門家へ相談をしましょう。

手続きのご依頼・ご相談

本日は株式交換契約書の印紙について解説いたしました。コラムをまとめますと、

・ 株式交換契約書は、通常は印紙税の課税対象ではないため、印紙を貼る必要はない。
・ ただし、契約書に「金銭のやり取り」や「不動産の譲渡」が含まれる場合、印紙税が発生する可能性がある。
・ 印紙税がかかるかどうかは契約内容次第なので、契約書作成時には注意が必要。

契約書の内容をしっかりチェックし、余計な税負担を防ぐためにも、事前に確認をしましょう。
会社法人登記(商業登記)に関するご依頼・ご相談は司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。



本記事の著者・編集者

司法書士法人永田町事務所

商業登記全般・組織再編・ファンド組成・債務整理などの業務を幅広く取り扱う、加陽 麻里布(かよう・まりの)が代表の司法書士事務所。
【保有資格】
司法書士登録証

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