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取締役会みなし決議とは。ZOOM会議は法的に可能?議事録記載内容、押印や登記のことなど

取締役会のみなし決議について(登記など)

コロナウイルスの影響により、オンライン会議、テレワークが促進される中で、株主総会や取締役会の開催の在り方も変化しております。

取締役の人数が多い会社や、社外役員を積極的に入れてる会社が取締役会決議をする場合、取締役全員の日程をあわせて、一同に会し取締役会を開催するのは、役員にとっては負担であり、大変非効率であります。その結果会社の意思決定に支障をきたします。

取締役会みなし決議

この点、会社法第370条では「取締役会みなし決議」の規定が定められております。これは、議決に加わることのできる役員全員が、取締役会で決議する事項につき賛否を書面またはメール等により意思表示をした場合(かつ監査役が異議を述べない場合)は、取締役会の開催を省略できるとされています。

このような方法により開催する取締役会決議を「取締役会のみなし決議」といいます。

ZOOMでの取締役会は法的に問題ないか

テレビ電話や電話会議を用いた取締役会は「実際に開催された取締役会」に該当いたします。
そのため上記でいう会社法370条の取締役会みなし決議とはなりません。

みなし取締役会決議の方法

書面またはメール等により賛否を示します。口頭での同意は賛否の意思表示を証明できませんし、認められません。
メールで行う場合、メール本文に、提案内容を記載(若しくは提案内容を記載したファイルを添付)し、メール本文に「賛成します」等の賛否を記載した返信をもらうか、もしくは提案内容を記載したファイルに署名したものをPDF形式で返信してもらう方法がございます。

議事録の余白に、賛成しますと署名してもらっても構いません。全員が同じ方法である必要はなく、一部はメールで同意、一部は書面による同意でも問題ございません。

同意が必要な取締役

みなし取締役会決議をするには、取締役全員の同意が必要であり、決議内容を提案した取締役についても同様ですので、提案者たる取締役の同意も取る必要がございます。
決議の目的である事項につき利害関係のある取締役は、会社法上当該議決に加わることは出来ませんので、当該取締役の同意は不要となります。

監査役の同意は必要か

監査役の同意は不要となります。しかし、監査役の異議があった場合は、みなし取締役会決議は成立せず、また監査役が異議を述べることが出来る時期について決まりがあるわけではありませんので、みなし決議成立後に異議が出ないよう、実務上は異議がないことを証する書面に監査役の署名捺印をいただくことが一般的となります。

定款の定めが必要

「みなし取締役会決議」を行う場合は、会社の定款に「みなし取締役会決議が出来る」旨の定款の記載が必要です。
cf.株主全員の同意によって開催されたこととする「みなし株主総会決議」の場合は不要です

登記添付書面

みなし取締役会決議による取締役会議事録を使用して登記申請する場合は、取締役会議事録とあわせて、みなし取締役会決議が出来る旨の定款の記載があることを証するため、定款も添付することになります。

議事録の作成は必須

みなし取締役会決議の場合は実際に会は開催されませんが、取締役会議事録を書面または電磁的記録をもって作成する必要はございます。

みなし取締役会議事録(決議)の記載事項

1.取締役会決議があったものとみなされた事項の内容
2.取締役会で決定すべき事項を提案した取締役の氏名
3.取締役会の決議があったものとみなされた日
4.議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名

みなし取締役会議事録への押印

会社法上、取締役会議事録へは、出席取締役及び出席監査役の全員の記名押印が必要となります。(会社法第369条3項)。
みなし取締役会議事録の場合は、取締役及び監査役の記名押印は、法律上求められておりません。

取締役会は実際に開催されていないため「出席者」は存在しないため当該押印義務を負う者は存在しないという考え方であります。
もちろん押印しなくていいだけであり、任意で押印する分には問題ありません。

代表取締役選定議案ある場合

代表取締役の変更をする場合の取締役会議事録に前代表取締役が法人実印で押印しない場合は、当該みなし取締役会決議に同意する取締役全員が実印で議事録へ押印(又は同意書に実印で押印)し、かつその実印に係る取締役全員の印鑑証明書をつける必要がございます(商業登記規則第61条4項)。
なお、この場合は、監査役の実印の押印と印鑑証明書の添付については不要とされております。

さいごに

いかがでしたでしょうか。議事録への押印であったり作成方法については、会社法上細かいルールがございます。
取締役会の開催・議事録の作成等に関するお問い合わせは「永田町司法書士事務所」までお気軽にお問い合わせください。

本記事の著者・編集者

司法書士法人永田町事務所

債務整理・商業登記全般・組織再編・ファンド組成などの業務等を幅広く取り扱う、加陽 麻里布(かよう・まりの)が代表の司法書士事務所。
【保有資格】
司法書士登録証

会社法人登記(商業登記)の

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