減資 / 登記申請手続(各種)

事業年度末までに減資がしたい場合、登記や手順などを解説

事業年度末までに減資がしたい場合、登記や手順などを解説


資本金の額の減少

会社は株主や第三者などから出資を受けて、その引換えに新たに株式を発行した場合、資本金の額が増加します。
資金調達の過程において、最終事業年度にかかる賃借対象表に資本金として計上した金額が5億円以上となった場合、会社は会社法上大会社として扱われます(会社法2条6)。
大会社においては、会計監査人を設置しなければならないほか、体制整備や連結決算書類を作成することなど、会社法上様々な義務が課されることになります。
このような負担を避けるためには、資本金増加後、事業年度末までに減資をする必要があります。資本金の額が一度5億円を超えても、事業年度末までに減資をすることで大会社になることを回避することができます。

事業年度末を3月末としている会社は、3月31日までに減資の効力を発生させなければ大会社になることを避けることは難しくなってしまいます。なお、この効力発生とは、登記申請は含まれません。
登記申請は効力発生日から2週間以内に行えばいいとされていますので、登記の完了が4月になってしまっても問題はありません。

資本金を減少させる必要性

減資とは、資本金の額を減少させることをいいます。
事業年度末までに減資する理由として挙げられるのは、大会社になることを回避することだけではありません。
そのほかに理由としてあげられるのは以下の通りです。

①繰越欠損金を解消するため
②配当金の原資を確保するため
③税務的な理由で資本金を1億円以下とするため


第447条(資本金の額の減少)
① 株式会社は、資本金の額を減少することができる。この場合においては、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 減少する資本金の額
二 減少する資本金の額の全部又は一部を準備金とするときは、その旨及び準備金とする額
三 資本金の額の減少がその効力を生ずる日
② 前項第1号の額は、同項第3号の日における資本金の額を超えてはならない。
③ 株式会社が株式の発行と同時に資本金の額を減少する場合において、当該資本金の額の減少の効力が生ずる日後の資本金の額が当該日前の資本金の額を下回らないときにおける第1項の規定の適用については、同項中「株主総会の決議」とあるのは、「取締役の決定(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)」とする。



事業年度末までに減資を行うには、期限までに効力が発生するように速やかに手続きを行わなければなりません。

資本金の減少手続きを行う手順

まず、減資を行うには、株主総会の特別決議によって以下の項目を決定します。

①減少する資本金の額
②減少する資本金の額の全部又は一部を準備金とするときは、その旨及び準備金とする額
③資本金の額の減少がその効力を生ずる日



また、資本金の額の減少は、マイナスとならない限度であれば資本金の額がゼロでも可能とされています。
なお、この額は、効力発生日における資本金の額を指します。


その他に必要な手続きは以下の通りです。

①債権者保護手続(債権者に対し減資の内容、一定の期間内異議を述べられる旨、最終の貸借対照表の開示場所を官報に公告)
③把握している債権者に対する個別催告書送付(省略可能な場合有)
④異議を述べた債権者に対する対応
⑤減資の効力発生
⑥減資の登記申請



このように、減資を行うには、株主総会の決議や債権者保護手続きを行わなければならないので、一定の期間を要します。
短い期間で間違いのないよう手続きを行わなければならないため、資本金の減少手続きについては専門家へ依頼することをオススメいたします。

手続きのご依頼・ご相談

本日は資本金の減少手続きについて解説しました。
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