減資 / 登記申請手続(各種)

減資額の確定をせずに(見込みで)減資手続きをすることの可否



減資額の確定をせずに(見込みで)減資手続きをすることの可否


増資と減資を同時に行う手続き

募集株式の発行(増資)と資本金の額の減少(減資)は同時(1つの日)に効力を発生させることができます。イメージとしては以下のようになります。

令和5年1月1日時点…資本金5000万円
令和5年3月1日効力発生日…1億円を増資(資本金1億5000万)
令和5年3月1日効力発生日…1億円を減資(資本金5000万)



事業年度末に増資を行うが事業年度末時点においては、資本金を1億円以下にしておきたい…というような場合にニーズがあります。
また、欠損填補をするために増資を行い同日減資を行って資本金及び資本準備金を資本剰余金に振替えるような場合も考えられます。

減資額を確定できない場合

減資の手続きにおいては、減少する資本金の額をあらかじめ決定し、株主総会で承認を行い減資公告等を行い債権者保護手続きを行った上で手続きをするのが一般的です。
この時、株主総会で減資決議を行う際に、その減資額が具体的に確定できない場合はどうなるのでしょうか。

減資額を確定できない場合とは、募集株式発行時において、引受人が複数人いる場合、申込期間中にその全員が払込みを行うとは限りません。また新株予約権の行使においても同様のことがいえます。いくら行使されるか決議時点で不明なわけですので、実際に増加した資本金額分を減資したいと考えた場合は、見込みで減資が出来るようにしておかなければなりません(つまり払い込まれた分だけ減資する…というような形で決議をとる必要があります)。
実際にこれが出来るのかについては、出来ると考えます。

条件付の減資公告の可否

条件付減資公告の文案は以下のとおりになります(実際にこの文言で官報に公告されている事例を確認しています)。

当社は、資本金の額を●●●万円減少し▲▲▲万円とすることにいたしました。
また、●年●月●日から ●年●月●日までの日を払込期日とする株式の発行があった場合には、資本金の額を当該株式発行により増加する資本金の額と同額分減少し、最終的な資本金の額を▲▲▲万円とすることにいたしました。効力発生日は ●年●月●日であり、株主総会の決議は、●年●月●日を予定しております。



「最終的な資本金の額を▲▲▲万円とすることにいたしました。」という文言を忘れずに入れることがポイントになります。
債権者保護手続きの趣旨を考えれば、いくら減らすのかよりも最終の資本金の額が大事になりますので、いくら減少するのか明記しなくても最終の資本金額が分かれば減資手続きが出来るという結論は納得できるかと思います。

実例を紹介

実際にこのような条件付の減資手続きを行っている企業を紹介します。
スシローで有名な株式会社FOOD&LIFE COMPANIESは、過去にこのようなIRを出しています。



減少する資本金(7,084,550円(ただし、本新株式発行により増額する資本金の額がこれを下回る場合は、当該金額)
その後、実際に減資の登記が行われましたが、減資額は当初の7,084,550円ではなく、括弧書きの条件に沿った金額7,084,550円より低い金額で減資されています(履歴事項全部証明書令和3年4月7日付変更登記事項を参照)。

新株予約権の行使に伴う増加とみこみ減資

新株予約権の行使においても上記同様どのくらいの行使が行われるか決議時までに確定できない場合は見込みで減資決議を行うことになります。
その場合の文言としては、以下のとおりと考えられます。

当社は資本金の額を●●●万円減少し▲▲▲万円とすることにいたしました。
また、新株予約権又は新株予約権付社債の全部又は一部が●年●月●日から ●年●月●日までの期間に行使された場合には、当該権利行使に伴う株式発行により増加する資本金の額と同額分減少し、最終的な資本金の額を▲▲▲万円とすることにいたしました。効力発生日は ●年●月●日であり、株主総会の決議は、●年●月●日を予定しております。


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本日は減資額の確定をせずに(見込みで)減資手続きをすることの可否について解説しました。
減資に関するご相談等は司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。


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