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社債管理者の設置義務と社債権者集会の関係性について解説

社債管理者の設置義務と社債権者集会の関係性について解説


社債管理者の設置義務と社債権者集会の関係性

会社が社債を発行する場合、社債管理者を定めて、社債権者のために、弁済の受領、債権の保全その他の社債の管理を行うことを委託しなければなりません(会社法702条)。
社債管理者の権限や責任については、社債権者集会の決議を必要としているものもあるため、社債を発行する会社は、あらかじめその関係性についてしっかり理解しておく必要があります。
このコラムでは、​​社債管理者の設置義務と社債権者集会の関係性について、分かりやすく解説していきます。

社債管理者の設置義務

社債を発行する会社は、原則社債管理者の設置が法律上義務付けられています(会社法702条)。
社債管理者は、一定の場合に倒産手続に関する行為を社債権者集会の決議を経ず単独でなすことができるだけでなく、社債権者のために債権者異議申述権を行使することもできるようになるなど、社債発行会社において重要な役割を担っています。

設置義務が免除される場合

次に該当する場合には、社債管理者の設置義務は免除されます。

【社債管理者の設置が免除される場合】
それぞれの社債の金額が1億円以上である場合
「社債の総額」を「当該種類の各社債の金額の最低額」で除して得た数が、50を下回る場合


社債管理者の権限

社債管理者は、社債権者のために、債権の弁済を受け、債権の実現を保全するために必要な「一切の裁判上又は裁判外の行為」をすることができます(会社法705条)。
ただし、次に該当する行為は、社債権者の利害関係に関わるため、社債権者集会の決議を経る必要があります(会社法706条)。

【社債管理者の権限】
社債全部についての支払の猶予
債務不履行責任の免除または和解
募集事項に定めのない、社債全部についての訴訟行為
募集事項に定めのない、「破産手続」「再生手続」「更生手続」「特別清算に関する手続」に関する行為


社債管理者の社債権者集会における権限

また、社債管理者は、社債権者集会において、次のような権限を持っています。

【社債管理者の社債権者集会における権限】
社債権者集会の招集 (会社法717条)
社債権者集会に、社債管理者の代表者を出席させること (会社法729条)
社債権者集会の議事録の閲覧・謄写の請求 (会社法731条)
社債権者集会の決議の執行 (会社法737条)


社債管理者と利益相反行為

社債管理者は、社債発行会社に対して「公平誠実義務」や「善管注意義務」を負います(会社法704条)。
もし、社債管理者と社債発行会社との間に利益相反行為がある場合には、社債権者集会の申立てがあれば、裁判所は特別代理人を選任する必要があります(会社法707条)。

社債権者集会の決議と社債管理者の責任

社債管理者は、社債権者集会の決議に反する行為をし、社債権者に損害を発生させた場合には、社債権者に対し損害を賠償する責任を負います。
社債管理者の辞任・解任
社債管理者は、以下に該当する場合であれば、辞任することができます。

【社債管理者が辞任できる場合】
社債発行会社および社債権者集会の同意を得た場合
委託契約に定めた辞任の事由が生じた場合
やむを得ない事由があり、裁判所の許可を得た場合


社債管理者を解任できる場合

また、社債管理者を解任したい場合には、次の事由に該当する必要があります。

【社債管理者が解任できる場合】
社債管理者に義務違反行為や社債管理者として不適任な事由もしくはその他正当な理由があるとき
社債発行会社または社債権者集会が裁判所に申し立てた場合



社債管理者は、社債権者のために、弁済の受領、債権の保全その他の社債の管理を行うことを目的としたものであり、社債権者の総意を決定する合議体である社債権者集会とは、密接な関係性にあります。

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本日は社債管理者設置義務と社債権者集会の関係性について解説しました。
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