資本金の額の減少手続きを解説!債権者保護手続きやその内容など
資本金の額の減少
資本金とは
資本金とは、会社財産を確保するための基準となる一定の計算の数値である。
資本金の額は、設立又は株式の発行に際して株主となるものが当該株式会社に対して払い込み又は給付した財産である(会社法445条)。
資本金の額は定款記載事項ではないが、登記及び賃借対照表によって公示しなければならない(会社法440条1項、442条)。
資本金の減少
また、会社は、資本金の額を減少させることができる(会社法447条1項)。これを、資本金の額の減少という)。資本金の額を減少させるには、次の事項を定めなければならない。
①減少する資本金の額
②減少する資本金の額の全部又は一部を準備金とするときは、その旨及び準備金の額
③資本金の額がその効力を生ずる日
資本金の減少は、株主の利益に重大な影響を及ぼす。
したがって、資本金の額の減少を決定するには、株主総会の特別決議によって決定しなければならない。特別決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数が出席し、出席株主の3分の2以上の賛成を持って決議される。
ゆえに、登記の申請には、資本金の額の減少についての株主総会議事録と株主リストが必要となる。
欠損填補のための資本金減少の場合
しかし、資本金の額の減少が欠損填補のためである場合、株主総会の普通決議で行うことができる。
普通決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数が出席し、出席株主の過半数以上の賛成を持って決議される。
資本金の減少手続きにおける債権者保護手続き
また、資本金の額の減少は、債権者を害する恐れがある。資本金が減少すれば、資本準備金又は剰余金が増加することとなる。
この場合、剰余金が増えれば、会社は剰余金を自由に使うことができるので、株主に配当され会社財産が減少することとなれば、債権者の引当となる財産が減少することとなる。
したがって、債権者は資本金の額の減少に関して異議を述べる権利を有する。ゆえに、会社は、債権者に対し公告及び催告を行わなければならない。この場合の広告方法は、会社が定款で定めた広告方法ではなく、官報によって行わなければならない。広告内容は以下の通りとなる。
②会社の計算書類に関する事項として会社計算規則152条で定めるもの
③債権者が一定の期間に異議を述べることができる旨
債権者が異議を述べることのできる期間は1ヶ月を下回ることはできない。したがって、官報における公告を行った日付から決定事項である効力発生日に1ヶ月以上の期間が設けられていなければ登記することはできない。また、日本経済新聞や電子公告など会社が定める公告方法によって二重公告を行った場合、格別の催告を省略することができる。ゆえに、添付情報は、官報による公告をしたことを証する書面及び、格別の催告を行ったことを証する書面、又は、会社が定めた方法によって公告をしたことを証する書面となる。この場合、異議を述べた債権者がいなければその旨も記載して申請する。
手続きのご依頼・ご相談
本日は資本金の減少に関する手続きについて解説しました。
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