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任意組合のデメリットを解消する投資事業有限責任組合の特徴などを簡単解説

任意組合のデメリットを解消する投資事業有限責任組合


任意組合のデメリットを解消した制度

主として株式ファンドにおいて長年使われてきた任意組合ですが株式ファンドで任意組合が選択される理由は主に以下の理由がありました。

・任意組合自体が納税義務者にはならず各組合員が納税義務者となる(パススルー課税)
・個人組合員は株式売買益の申告分離課税の恩恵を受けれる。
・法人組合員は受取配当金の益金不算入の恩恵を受けれる。



また任意組合は上記税務上の理由の他に組成が容易にできるというメリットも有するため、株式ファンドのとして利用されてきました。
任意組合の特徴は以下になります。

・任意組合は法人格がない
・任意組合は各組合員が無限責任を負う
・任意組合は納税義務者ではなく、各組合員が納税義務者となる。


株式ファンドにとって使い勝手の良い任意組合ですが、不都合な面(デメリット)もありました。

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任意組合のデメリット

任意組合のデメリット、それは「任意組合は各組合員が無限責任を負う」ということです。
一般の株式会社等の株主であれば、株主の責任はその出資財産まで(有限責任)になります。しかしながら任意組合は各組合員が出資財産以上の責任を負わなければなりません(無限責任)。

無限責任の場合、株式投資に際して借入等で調達するとその返済義務は各組合員が負います。そのため任意組合を使用した株式ファンドでは、リスクを考慮した結果、借入等によって十分な資金を集めることができないというデメリットがありました。

中小企業等投資事業有限責任組合制度制定

上述のようなデメリットを解消するために、各組合員が出資額までしか責任を負わない有限責任制度を導入した「中小企業等投資事業有限責任組合」制度が制定されました。
この「中小企業等投資事業有限責任組合」がその後「投資事業有限責任組合」に制度変更され現在に至るわけです。
このように投資事業有限責任組合の最大の特徴は、組合員に有限責任制を導入したこのになります(投資事業有限責任組合契約に関する法律第9条)

(組合員の責任)
第九条 無限責任組合員が数人あるときは、各無限責任組合員は組合の債務について連帯して責任を負う。
2 有限責任組合員は、その出資の価額を限度として組合の債務を弁済する責任を負う。
3 有限責任組合員に組合の業務を執行する権限を有する組合員であると誤認させるような行為があった場合には、前項の規定にかかわらず、当該有限責任組合員は、その誤認に基づき組合と取引をした者に対し無限責任組合員と同一の責任を負う。



また投資事業有限責任組合は、登記を必要とする(投資事業有限責任組合契約に関する法律第17条)とともに、公認会計士の会計監査が必要(投資事業有限責任組合契約に関する法律第8条2項)となります。その点で任意組合と比べて設立及び運営コストが割高になるというデメリットはあります。

(組合契約の効力の発生の登記)
第十七条 組合契約が効力を生じたときは、二週間以内に、組合の主たる事務所の所在地において、次の事項を登記しなければならない。
一 第三条第二項第一号、第二号、第六号及び第七号に掲げる事項
二 無限責任組合員の氏名又は名称及び住所
三 組合の事務所の所在場所
四 組合契約で第十三条第一号から第三号までに掲げる事由以外の解散の事由を定めたときは、その事由


(財務諸表等の備付け及び閲覧等)
第八条 無限責任組合員は、毎事業年度経過後三月以内に、その事業年度の貸借対照表、損益計算書及び業務報告書並びにこれらの附属明細書(第三項において「財務諸表等」という。)を作成し、五年間主たる事務所に備えて置かなければならない。
2 前項の場合においては、無限責任組合員は、組合契約書及び公認会計士(外国公認会計士を含む。)又は監査法人の意見書(業務報告書及びその附属明細書については、会計に関する部分に限る。次項において同じ。)を併せて備えて置かなければならない。
3 組合員及び組合の債権者は、営業時間内は、いつでも、財務諸表等並びに前項の組合契約書及び意見書の閲覧又は謄写を請求することができる。


まとめ

長年主として利用されてきた任意組合ですが、組合員が無限責任を負い、その結果思うような資金調達が出来ないことがデメリットでした。
このデメリットを解消するために投資事業有限責任組合(LPS)が誕生しました。
投資事業有限責任組合(LPS)の特徴は以下になります。

・投資事業有限責任組合の組合員は無限責任と有限責任がある
・投資事業有限責任組合は登記が必要(なお、法人格はない)
・投資事業有限責任組合は公認会計士の会計監査が必要



当事務所では投資事業有限責任組合(LPS)や有限責任組合(LLP)の組成実績を数多く有します。
ファンド組成に関するご相談は永田町司法書士事務所までお問い合わせください。


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