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LLP(有限責任事業組合)の3つの特徴を解説(前編)【有限責任】を解説!

LLP(有限責任事業組合)の有限責任

LLP(有限責任事業組合)の特徴

民法上の組合制度の特例として創設されたのがLLPです。

(関連リンク:有限責任事業組合(LLP)とは何か。その特徴と概要を解説

LLPの特徴としては以下3つです。

①出資者は出資額を限度として責任を負う(出資額以上の責任を負わない)。
②出資者の損益や権限の分配を自由に決定できる。
③法人格がないため組合に課税されず出資者に直接課税される(パススルー課税)。

従来の組合では実現できなかった有限責任・内部自治原則・パススルー課税を可能とした事業体制制度が誕生しました。
有限責任・内部自治原則・パススルー課税の3つを理解することがLLPを理解する上で欠かせないことですので本日は「有限責任」について以下簡単に解説いたします。
関連リンクLLP(有限責任事業組合)の3つの特徴を解説(後編)【内部自治の原則】と【パススルー課税】とは

有限責任とは

Xが個人事業主として事業を行い、例えば「X商店」と屋号を掲げて事業を行って失敗した場合は、個人事業主=個人ですので、その借金を返済する義務は個人であるAにあります。これが「無限責任(人的責任)」といいます。
民法上の組合は出資者全員が「無限責任」を追います。X及びYがふたりで組合を設立し、事業を行い失敗し負債が残った場合、その負債に対し、X及びYは各自の負担の割合に応じて全額返済する義務があるのです。

しかしLLPの場合は出資者は有限責任ですので、出資した額以上に返済する義務はありません。LLPの事業が失敗した場合はLLPの財産からのみ支払われます。出資した額は全く戻ってはきませんが、出資した額以上に返済をする義務はありません。

これが「出資額を限度として責任を負う」という意味です。これを「有限責任」というのです。これにより事業上のリスクが限定され新しい事業分野にも取り組みやすくなり、組合員はより参画しやすくなるのです。

金融機関の融資の実情

もっとも金融機関からすれば、責任が限定されている以上、融資にはとても慎重になります。
融資をしても出資額以上に出資者が責任を負わないのであれば金融機関は融資しづらくなります。そこで、LLPに融資をする場合は、代表者個人を連帯保証人として求めることが多くこの有限責任の実務的な意義は限定されてきました。

融資形態に広がり

しかし、上述したとおり、有限責任の実務的な意義は限定されれば、このLLP(有限責任事業組合)の制度自体が無意味となるため、LLPの有限責任制を実効あるものとするために、金融機関側にも国は手当を行い、現在はベンチャー企業が事業資金を調達する場合、政策金融公庫や金融機関は代表者の個人保証なしで融資を行うという例は増えています。
このような融資形態が広く利用できればLLPの有限責任制も実効性のあるものになっていきます。

不法行為は無限責任

なお、LLPの業務を行うにあたり、第三者に損害を与えた場合は原則LLPが損害賠償債務を負いLLPの財産での支払義務を負いますが、組合員の不法行為による場合は不法行為をおこなった組合員自身が不法行為者として無限責任を負いますので留保が必要です。

さいごに

いかがでしたでしょうか。本日はLLP(有限責任事業組合)を理解するに欠かせない3つのうち、1つ、有限責任についてご紹介しました。
LLP(有限責任事業組合)設立に関するご相談は永田町司法書士事務所までお問い合わせください。

 

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