実質的支配者 / 法人手続

(ケーススタディ)実質的支配者を解説




実質的支配者リスト制度

法人の透明性を向上させ、資金洗浄等の目的による法人の悪用を防止する観点から、法人設立後の継続的な実質的支配者を把握するために、実質的支配者リスト制度をが令和4年1月31日から開始しました。
実質的支配者(BO:Beneficial Owner)とは、法人の議決権の総数の4分の1を超える議決権を直接又は間接に有していると認められる自然人等をいいます。
本制度の対象となる実質的支配者とは、犯収法施行規則第11条第2項第1号の自然人(同条第4項の規定により自然人とみなされるものを含む。)に該当する者をいい、以下の通りです。

①設立する会社の議決権の総数の50%を超える議決権を直接又は間接に有する自然人となるべき者(この者が当該会社の事業経営を実質的に支配する意思又は能力がないことが明らかな場合を除く。)
②①に該当する者がいない場合は、設立する会社の議決権の総数の25%を超える議決権を直接又は間接に有する自然人となるべき者(この者が当該会社の事業経営を実質的に支配する意思又は能力がないことが明らかな場合又は他の者が設立する会社の議決権の総数の50%を超える議決権を直接又は間接に有する場合を除く。)
③①及び②のいずれにも該当する者がいない場合は、出資、融資、取引その他の関係を通じて、設立する会社の事業活動に支配的な影響力を有する自然人となるべき者
④①、②及び③のいずれにも該当する者がいない場合は、設立する会社を代表し、その業務を執行する自然人となるべき者


ケーススタディ

発起人が1名のみで、議決権比率が100%の場合は発起人1名が実質的支配者になります。
また、発起人が2名いる場合、どちらかが議決権比率を51%以上有している場合は、51%以上有している者のみが実質的支配者になります。議決権比率が、50%50%である場合は、二人が実質的支配者になります。
さらに、発起人が3名いる場合、Aうちの一人が議決権比率を51%以上有している場合は、51%以上有している者のみが実質的支配者になります。
議決権比率が50%・25%・25%である場合においても、50%有している者のみが実質的支配者となります。
議決権比率が50%・26%・24%の場合は、50%・26%のものが実質的支配者になります。

そして、発起人が4名いる場合、そのうちの一人が議決権比率を51%以上有している場合は、51%以上有しているもののみが実質的支配者となります。
議決権比率が50%・26%・12%・12%である場合、50%・26%有している者二人が実質的支配者となります。
議決権比率が、30%・30%・30%・10%である場合、30%有する三人が実質的支配者となります。
しかし、議決権比率が25%・25%・25%・25%の場合は、発起人ではなく代表取締役が実質的支配者になります。
代表取締役が実質的支配者となる場合は、要件③の「出資、融資、取引その他の関係を通じて、設立する会社の事業活動に支配的な影響力を有する自然人となるべき者」がいないことが前提となります。

なお、実質的支配者の要件にいう「自然人とみさなれるもの」とは、国、地方公共団体、上場会社等及びその子会社を指します。これらが発起人である場合においては、上記と同じ比率で法人が実質的支配者となります。実質的支配者とは、一定以上の議決権を有するなど会社を実質的に支配する者をいいます。したがって、発起人が法人である場合、注意が必要です。設立しようとする法人Aの100%株主が法人Bである場合、法人Bが実質的支配者となります。しかし、法人Bの議決権を51%保有している株主いて、その株主が株主Cである場合、実質的支配者はCになります。

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本日は実質的支配者リスト制度について解説しました。
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