株式会社の実態形成プロセス-法人格取得までの流れ-
株式会社の実態形成プロセス
実態形成のプロセス
1.株式会社は、次に掲げるいずれかの方法により設立することができる。
①定款作成から発起人等の責任まで規定するところにより、発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける方法
②定款作成、出資、設立時役員等の人数及び資格及び設立時取締役等の選定などから募集による設立までに規定するところにより、発起人が設立時発行株式を引き受けるほか、設立時発行株式を引き受けるものを募集する方法
2.各発起人は、株式会社の設立に際し、設立時発行株式を1株以上引き受けなければならない。
株式会社は、発起設立または募集設立のどちらかの方法によって設立することができます。しかし、どちらの方法においても会社の実態を形成しなければ登記することはできません。
では、株式会社の実態を形成するには、どのようなプロセスが必要となるのでしょうか。
定款作成
まず、団体の根本規定となるのが定款です。定款は、発起人が作成し、その全員がこれに署名し、または記名押印しなければなりません(会社法26条1項)。
また、株式会社の定款は、公証人の認証が必要です(会社法30条1項)。定款の絶対的記載事項は以下の通りです。
①目的
②商号
③本店の所在地
④設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
⑤発起人の氏名または名称及び住所
出資者の確定
次に、団体の構成員であり出資者である社員の確定が必要になります。現物出資者がいる場合は、定款に、その者の氏名または名称、当該財産及びその価額並びにその者に対して割り当てる設立時発行株式の数を定款に記載しなければ効力を生じません(会社法28条1項)。現物出資は発起人のみがなしえます。それ以外は、定款外においても設立時発行株式の引受け及び出資の履行によって効力を生じます。
これにより、社員が確定します。出資は、設立の前に履行しなければなりません。万が一、発起人若しくは設立時募集株式の引受け人が期日までに払い込みをしなかった場合、社員となる権限は失効します。この場合、定款に定めた設立に際して出資される財産の価額またはその最低額を満たしていなければ設立することができません。
機関構成
最後に、団体が活動するには、活動するための機関の具備が必要になります。持分会社の場合は、社員が当然に機関となります。しかし、株式会社の場合は、株主が当然に機関となる訳ではありません。発起設立の場合は発起人が、募集設立の場合は創立総会において、設立時取締役、設立時監査役などが決定されることで機関が具備されます。
このように、定款の作成、社員の確定、機関の具備の3つのプロセスを経ることによって会社は実態を形成します。そして、設立の登記によって法人格を取得し成立します(会社法911条、49条)。
手続きのご依頼・ご相談
本日は株式会社の実態形成プロセスについて解説しました。
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