相続、遺産承継業務

寄与分と特別受益の違いを解説!遺留分計算と持ち戻し計算



寄与分と特別受益の違いを解説


相続人が複数人いる場合に考慮

相続人が複数人いる場合に考慮しなければならないのが、寄与分と特別受益です。
これらは、被相続人の財産に対してかかるものであり、その金額によっては相続人それぞれの取り分も変わってくるので、遺産分割協議などの話し合いだけでは解決できない可能性も高くなります。
では、寄与分と特別受益とはどのような違いがあるのであろうか。

寄与分とは

まず、寄与分とは、相続人が、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別に寄与した金額分を示します。
寄与分は、相続開始の時において被相続人が有した財産の価格から控除して、法定相続分に加えて相続分とすることができます(民法904条の2)。

特別受益とは

これに対して、特別受益とは、生前贈与や遺贈などによって一部の相続人が被相続人から受けた特別な利益のことを示します。
特別受益となるものには、遺贈、学費、生活のための贈与、生活費、婚姻のための贈与などがあげられる。特別受益は、相続分の計算の際に持ち戻し計算をする必要がある。持ち戻しとは、特別受益の金額が相続財産に含まれているとみなしたうえで、相続財産にその金額を加算し、各相続分を計算し、特別受益のある相続人の相続分から特別受益の金額を差し引いて計算します。これは、特別受益のある相続人が、先に受けた優遇を相続時に差し引くことによって相続人間の公平を保つものとなります。

遺留分計算と持ち戻し計算

このように、寄与分であれば、被相続人の生前に寄与した持分を相続時に持ち戻すものであり、特別受益であれば、被相続人の生前に優遇をうけた持分を相続財産に持ち戻すものであるので、それぞれ扱いが異なります。
ゆえに、寄与分による増加と、特別受益による減損を評価の上、具体的な相続分の金額が決定されます。
特別受益の持ち戻し計算は、相続分計算と遺留分計算において、その扱いは変わってきます。遺留分とは、民法上定められた最低限の遺産取得分です。
まず、相続分計算における持ち戻しには、期間の制限が設けられていません。したがって、30年経っても、40年経っても持ち戻し計算の対象となります。
これに対して遺留分計算における持ち戻しは、相続開始前10年間に限り特別受益の持ち戻し計算の対象となります。
ゆえに、10年より以前の贈与であれば遺留分請求の対象とはなりません。また、被相続人に免除の意思があればその意思に従い、特別受益は持ち戻しの対象となりません(903条3)。
これに対して持ち戻し免除の意思表示は遺留分には影響を与えません。なぜなら、相続人の意思があっても遺留分を侵害することは許されず、遺留分制度によって最低限の相続分は保障されているからであるからです。

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寄与分と特別受益の違いを解説しました。
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