組織再編

上場会社が決算承認前に行う官報公告掲載の注意点と決算公告の要否について解説!法定公告を官報に掲載する場合は要注意



上場会社の決算承認前に行う決算公告の掲載の注意点と要否について解説


上場会社の決算情報開示

上場会社はEDINETに決算情報を開示しますので原則として決算公告を必要といたしません(会社法440条第4項)。
法定公告(合併・吸収分割・新設分割・資本金・準備金の減少・組織変更等)を行う場合に決算公告をあわせて行う必要が原則としてないとされています。

(計算書類の公告)
第440条 株式会社は、法務省令で定めるところにより、定時株主総会の終結後遅滞なく、貸借対照表(大会社にあっては、貸借対照表及び損益計算書)を公告しなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、その公告方法が第939条第1項第1号又は第2号に掲げる方法である株式会社は、前項に規定する貸借対照表の要旨を公告することで足りる。
3 前項の株式会社は、法務省令で定めるところにより、定時株主総会の終結後遅滞なく、第1項に規定する貸借対照表の内容である情報を、定時株主総会の終結の日後5年を経過する日までの間、継続して電磁的方法により不特定多数の者が提供を受けることができる状態に置く措置をとることができる。この場合においては、前2項の規定は、適用しない。
4 金融商品取引法第24条第1項の規定により有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならない株式会社については、前3項の規定は、適用しない。


上場会社においても決算の要旨を公告する必要がある場合

上述の通り、上場会社は決算公告を行う必要はありませんが例外として官報に決算の要旨を公告しなければならない場合がございます。
具体例をだしてご紹介しますと、事業年度が12月の会社において、2023年3月現在の状況として「2022年度の監査された計算書類が取締役会で承認済」かつ「2022年度の有価証券報告書が開示前」である場合です。
上場会社の貸借対照表の開示状況の記載について整理すると以下の通りになります。

①「2022年度(2022年12月31日現在のもの)の監査された計算書類が取締役会で承認前

→有価証券報告書が提出済みの旨を記載(※2021年度の有価証券報告書の開示が有効)
つまり決算の要旨の掲載をあわせて行う必要はない。

②「2022年度の監査された計算書類が取締役会で承認済」かつ「2022年度の有価証券報告書が開示前

→貸借対照表の要旨の同時掲載が必要

③「2022年度の有価証券報告書が開示済

→今年度の有価証券報告書が提出済みの旨を記載(※2022年度の有価証券報告書の開示が有効)
つまり決算の要旨の掲載をあわせて行う必要はない。

判定基準日

有価証券報告書をエディネットに上げる日以前に掲載開始する場合は、上述の②のとおり前年の有価証券報告書の開示は有効とならず、貸借対照表の要旨の同時公告が必要となる場合は注意が必要です。
有価証券報告書をエディネットに上げた翌日以降に掲載開始する場合は、貸借対照表事項は「金融商品取引法による有価証券報告書提出済。」と記載することになります。
官報販売所のホームページにおいても、「決算事項の取締役会の承認日」から「有価証券報告書提出日」の間に出す公告は「最終貸借対照表」を併記する必要がある旨が記載されていますので詳細は下記サイトをご参照ください。

会計監査人設置会社が法定公告を官報に掲載する時の最終貸借対照表記載について

手続きのご依頼・ご相談

本日は上場会社の決算承認前に行う決算公告の掲載の注意点と要否について解説しました。
公告手続きを失敗しますと予定した効力発生日を延期する必要が生じたりと大変な損害に繋がる場合もございますので慎重に確認する必要がございます。
合併・吸収分割・新設分割・資本金・準備金の減少・組織変更等のお手続きについては司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。



本記事の著者・編集者

司法書士法人永田町事務所

債務整理・商業登記全般・組織再編・ファンド組成などの業務等を幅広く取り扱う、加陽 麻里布(かよう・まりの)が代表の司法書士事務所。
【保有資格】
司法書士登録証

会社法人登記(商業登記)の

ご相談・ご依頼はこちら
お問い合わせ LINE

ご相談・お問い合わせはこちらから