議決権の半数以下しか有していない株主が取締役に選任されるには
議決権の半数以下しか有していない株主が取締役に選任されるには
株主が取締役
株式会社では所有と経営の分離がなされており、株主は株主総会を開いて、経営の専門家である取締役に経営を託すのが基本です。
上場企業などの大企業は、通常このような形で運用されています。一方、日本における中小企業の多くは、株式のすべてに譲渡制限をかけた非上場企業です。
大株主=取締役などの経営陣であることが多く、株主でもありながら経営を担っている場合や経営には直接関与しないものの形式的に取締役の地位に就いているケースが少なくありません。
定款による規定
この点、上場企業のような公開会社においては、会社法の規定により、取締役を株主に限定することは認められません。
一方、非公開会社であれば、定款に定めることで、取締役を株主に限定することも可能です。
定款を変更するには、株主総会の特別決議が必要です。
特別決議は定款に別段の定めがない限り、議決権の過半数を有する株主が出席し、その3分の2以上が賛成しなくてはなりません。
普通決議に比べて、より多くの株主の賛成が必要になります。
取締役に選任されるには
取締役を選任するには、株主総会の普通決議が必要になります。普通決議を得るには、議決権の総数の過半数の株主が出席し、その過半数の賛成がなくてはなりません。
そのため、取締役になりたいと考える株主は、単独で過半数の議決権を得るだけの株式を取得するか、過半数に至る株主に自らを選任してもらうよう働きかけるか議決権の過半数を取得できるまで、株式を買い集める方法が考えられます。
譲渡制限会社の場合
非公開会社の場合、取締役を株主に限定する定款規定をはじめ、株式譲渡制限の規定も設けているケースが少なくありません。
株式のすべてに譲渡制限がある会社である場合に、株式を過半数になるまで買い集めたいと思えば、会社に対して、譲渡の承認を請求し譲渡承認機関が譲渡を承認する必要があります。
つまり、取締役に選任される以前に、株式を買い集める段階でも取締役会または株主総会の決議が必要になります。
ほかの株主から敬遠されているなど、取締役への選任に疑問符が残る株主の場合、議決権の過半数を得るのも難しいケースが考えられます。
手続きのご相談・ご依頼
本日は議決権の半数以下しか有していない株主が取締役に選任される方法について解説いたしました。
商業登記に関するお問い合わせは司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。