準備金の資本組入、資本準備金と利益準備金とは?
準備金の資本組入について
株式会社にとっての資本の重要性
株式会社は株主有限責任のもとで運営されています。
株主有限責任とは、出資者であり、会社の所有者である株主は出資の限度で責任を負うということです。
株式会社に対して融資するなどした債権者や賃料請求権を持つ従業員にとってみれば、万が一経営が悪化した場合には、出資の限度でしか責任を追及できません。
出資金は資本金になるため、資本金が確保されているかは重要な問題です。
かつては株式会社には最低資本金制度があり、資本金は最低でも1,000万円以上必要でした。
現在では最低資本金制度が撤廃されているので、いっそういくらあるかは関心事です。
資本準備金と利益準備金
株式会社では、株主が払い込んだ出資金のうち、資本金の2分の1を超えない額について、資本準備金として資本金とは別に積み立てておくことができます。
また、会社法によって積み立てることが義務づけられているのが利益準備金です。
企業は事業によって稼いだ利益の一部を配当金として株主に還元しますが、その際、配当金額の10分の1にあたる額を利益準備金として積み立てていくことが求められます。
株主有限である株式会社の財政基盤を強化するためですが、資本準備金と利益準備金を合わせた法定準備金が、資本金の4分の1に達するまで積み立てが求められます。
法定準備金の使い道
法定準備金は、会社の経営が悪化した時などに、資本の欠損填補に充てることや資本に組み入れることが可能です。
資本の欠損とは、これまでに蓄積された利益額より赤字額のほうが大きくなっている状態です。
債務超過などに陥り、負債額や赤字額が資本金を上回っています。
この場合、資本金を回復させるために法定準備金を充当することが可能です。
ただし、損失処理にあたるため、株主総会の決議を得なければなりません。
また、債権者は自らの権利を保護するために、資本準備金の減少について異議を述べることが可能です。
一方、欠損が生じていなくても、財産基盤の強化のために法定準備金の資本組入もできます。
資本組入の場合も、株主総会の普通決議と債権者保護手続が原則として必要です。
なお、減少する準備金をすべて資本金に組み入れる場合、資本金として債権者が追求できる基盤が充実することになることから、債権者保護手続は行わなくてかまいません。
準備金の資本組入を行うことで資本金額に変更が生じた場合には、2週間以内に変更の登記を行うことが求められます。
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準備金の資本組み入れについて解説しました。
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