登記申請手続(各種)

取締役等の会社に対する責任の免除に関する規定の必要性や免除方法を解説

取締役等の会社に対する責任の免除に関する規定の必要性や免除方法を解説


取締役等の会社に対する責任とは

取締役は会社に対する責任と株主や会社債権者など第三者に対する責任を持ちます。
取締役は会社と委任契約を結び、会社に対して注意義務と法令や定款、総会決議の順守などの職務遂行義務を負います。
会社法では、取締役がこうした任務を怠れば、会社に対して生じた損害賠償責任を負うことも定められているため、当然ながらかなり重い責任です。
単なる従業員なら負わせられることのない責任も負う立場であり、ミスをすれば損害賠償に直結することとなります。
昨今ではさまざまな不祥事に対し、非常に高額な賠償責任が追及されるケースも多くなりました。
取締役という立場になれば、たとえ本人がほとんど関わっていないような事態においても、責任を追及されることがあります。
現場に不正行為があった場合、監視監督義務を怠っていたとされますし、内部統制システムをきちんと構築していなかった責任を問われます。
不正が発覚した後も、企業の損害が拡大しないよう回避策を講じたかも問われ、取締役が損害賠償を負担するリスクは高まっていると言えるでしょう。

取締役等の責任を免除する必要性

取締役等の会社に対する責任の免除に関する規定とは、原則負わなければならない取締役の損害賠償責任を免除するための制度です。
近年は、企業の不祥事を抑止するため社外取締役の設置を求める傾向がありますが、多額の損害賠償リスクがあるとなれば萎縮することが懸念されます。
そこで、取締役の責任を免除または限定する仕組みを設け、経営が萎縮しないよう配慮されたのがこの制度の設置理由です。
ただ、もちろん簡単に責任を免れることはなく、会社法では4つの方法を定めています。

会社法による取締役等の会社に対する責任の免除方法

会社法では、以下4つの免除・限定方法を規定しています。

・総株主の同意(会社法424条)
・株主総会の特別決議による一部免除(会社法425条)
・定款に基づく取締役・取締役会の決定による一部免除(会社法426条)
・定款に基づく責任限定契約による一部免除(会社法427条)



原則は株主全員の同意なのですが、株主総会の特別決議で出席株主の3分の2以上の賛成を得れば一部免除できるようにしています。
過失の程度は善意かつ重過失がないことに限られますが、株主総会で一定の事項を開示し、賠償額と免除できる額の根拠、免除すべき理由を説明し、賛成されれば可能です。
取締役会や取締役の過半数の同意で一部免除できるのは、監査役設置会社や監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社に限られています。
責任限定契約による軽減は、会社と事前に契約締結し、責任の一部を免除する仕組みです。
この場合、対象となるのは業務執行取締役等を除く取締役や監査役、会計監査人です。
ただし、あらかじめ定款で定める必要があり、規定を置く必要があります。

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本日は取締役等の会社に対する責任の免除に関する規定の必要性や免除方法を解説しました。
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