登記申請手続(各種)

発行可能株式総数の決定基準や新株予約権(潜在株式)との関係を解説



発行可能株式総数の決定基準や新株予約権(潜在株式)との関係を解説


発行可能株式総数とは

発行可能株式総数は、株式会社が将来的に何株まで株式を発行することができるかの上限数を指しています。
会社は定款で定めたその上限まで新規で株式を発行することが可能です。
発行済株式数が現在値の株式数にあたりますが、発行可能株式総数は、会社を設立した後にどのくらいの株まで増やせるかといった将来の株式発行数に制限を与えるものになります。

発行可能株式総数を決めなければならないのはなぜ?

会社が新規に株式を制限なく発行することができるとなれば既存の株主にとって株主が増えるわけですので、支配力が弱くなるだけではなく、1株あたりの配当金が下がるリスクが生じますので、配当金がその分減ってしまうという可能性があります。みだりに株式を新規に発行されてしまうと困ることから、将来的にこの上限までは株主の発行をする可能性があるということを株主に事前に示しておくために、発行可能株式総数が定められているのです。
上場会社(公開会社)においては、発行可能株式総数は、発行済株式総数の4倍を超えてはならないとするいわゆる「4倍ルール」がございます。
発行可能株式総数を変更するのは、定款変更にあたりますので、株主総会特別決議が必要となります。このルールを設けることで既存株主の保護を図っているのです。

発行可能株式総数の決定方法

会社を設立する際、発行可能株式総数をどのように決定していけば良いのでしょう。
上述したとおり公開会社(上場会社)の場合は、発行済株式総数の4倍を超えることができないと法で定められています。
ただ、新規で設立する会社は株式譲渡制限のある非公開会社であることがほとんどで、発行可能株式総数の上限はありません。
どのくらいの数発行可能株式総数を設定していけば良いかについては、明確に目安があるようなことはないため、会社の規模や将来的に上場するか否かなどといったことによって異なってきます。
もしどうすれば良いかわからないという時は、設立手続きを依頼する司法書士などに相談して設定されることをおすすめします。

発行可能株式総数の変更

発行可能株式総数は設立時に決めた上限値を永遠に超えないようにしなければならないわけではなく、株式総会の特別決議によって変更をしていくことが可能です。
発行可能株式総数の変更は、よく募集株式の発行(増資)や株式分割のタイミングで合わせて行われています。

発行可能株式総数と新株予約権発行(潜在株式)の関係

会社は、定款で定めた発行可能株式総数を超えて株式を発行することは出来ません。そして、新株予約権の行使期間が到来している場合、当該新株予約権がいつ行使されても株式を発行することができるようしておく必要があります(会社法第113条4項)。
例えば、発行可能株式総数が1000株で、発行済株式総数が500株の会社において、行使期間の到来している新株予約権が10個あったとします。
当該新株予約権の対象となる株式が普通株式100株であった場合、会社は新株予約権10個(合計1000株の権利)がいつ行使されても1000株を発行することが出来るようにしなくてはなりませんので、発行可能株式総数の変更をして枠を広げておく必要があります。
なお、新株予約権の行使期間が到来していない新株予約権は当該規定の対象外となります。
また、新株予約権の行使期間が到来している場合であっても新株予約権の目的となる株式につき自己株式として保有している場合は、当該規定の対象外となります。

手続きのご依頼・ご相談

本日は発行可能株式総数の決定基準や新株予約権との関係について解説しました。
会社・法人登記に関するご相談は永田町司法書士事務所までお問い合わせください。



本記事の著者・編集者

司法書士法人永田町事務所

債務整理・商業登記全般・組織再編・ファンド組成などの業務等を幅広く取り扱う、加陽 麻里布(かよう・まりの)が代表の司法書士事務所。
【保有資格】
司法書士登録証

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