労働者協同組合とは何か?設立要件や登記手続きについて解説します。
労働者協同組合とは何か?設立要件や登記手続きについて解説します
労働者協同組合とは
新たな法人形態として「労働者協同組合」が令和4年10月1日から開始します(労働者協同組合法(令和2年法律第78号))。
労働者協同組合とは、「組合員が出資し、それぞれの意見を反映して組合の事業が行われ、組合員自らが事業に従事することを《基本原理》とする組織」を指します。
組合を通じて「多様な就労の機会の創出」、「地域における多様な需要に応じた事業の実施」そして 持続可能で活力ある地域社会の実現を目的とする法人形態となります。
労働者協同組合の設立の流れ
労働者協同組合の流れは以下のとおりです。
①発起人を3名決定する
組合員になる意思のある3人以上(法第22条)で設立をする必要があります。
②必要書類の作成
定款、事業計画書、収支予算などの必要書類の作成を行います。
③創立総会の公告
設立総会の2週間前までに日時、場所、定款を公告します(法第23条第1項、第2項)。
④創立総会を開催
・定款の承認や、事業計画書、収支予算の議決、役員(理事・監事)の選挙などを行う(法第23条第3項)。
・組合員となることを承諾した者の半数以上が出席し、2/3以上の多数による決議が必要となる(法第23条第5項)。
・本総会の議事録の作成(法第23条第7項)を行う。
⑤出資の払込み
理事は事務引継ぎ後(法第24条)、組合員に速やかに第1回の払込み(法第25条第2項)をしてもらう(出資一口につき1/4以上)。
⑥登記申請
必要な書類等を提示、添付し、法務局で設立の登記をします(法第26条)。
⑦登記完了後事業開始
設立届出を行い、銀行口座開設など事業開始準備を行い準備整い次第事業を開始します。
労働者協同組合の特色
労働者協同組合法の特色は以下のとおりです。
・設立には3人以上の発起人が必要です。NPO法人(認証主義)や企業組合(認可主義)と異なり、行政庁による許認可等を必要とせず、法律に定めた要件を満し、登記をすれば法人格が付与されます(準則主義)。
・組合は組合員との間で労働契約を締結します。
・出資配当は認められません。剰余金の配当は、組合員が組合の事業に従事した程度に応じて行います。
・都道府県知事による監督を受けます。
組合員の資格
組合の組合員たる資格を有する者は、定款で定める個人とし、法人組合員は認められていません(法第6条)。
組合員自らその事業に従事するとの組合の基本原理の趣旨に反するからです。
定款事項としては、組合の事業に関する経験を有することなどが想定されます。例えば、建築を目的とする組合であれば、大工工事等の経験者などが想定されます。
労働者協同組合法のポイント
労働者協同組合法のポイントは以下のとおりです。
・出資配当は認めない(非営利性)。剰余金の配当は、従事分量による。
・組合は、組合員と労働契約を締結する(組合による労働法規の遵守)。
・その他、定款、役員等(理事、監事・組合員監査会)、総会、行政庁による監督、企業組合又はNPO法人からの組織変更、検討条項(施行後5年)等に関する規定を置く。
手続きのご依頼・ご相談
本日は令和4年10月1日からスタートする労働者協同組合について解説しました。
労働者協同組合はNPO法人に比べ簡便に設立することが可能で、これから利用が期待されます。
当事務所は、労働者協同組合の設立登記代行を行います。
労働者協同組合の設立については、永田町司法書士事務所までお問い合わせください。