株主総会 / 法人手続

株主総会の決議で剰余金を配当する場合の手続きと注意点!現物配当とはなにか?簡単解説



株主総会の決議で剰余金を配当する場合の手続きと注意点!現物配当とはなにか?簡単解説


株主総会の決議で剰余金を配当する手続きについて

株主に剰余金を配当するには、その都度以下の事項について株主総会の普通決議で議決する必要があります。

配当財産の種類と帳簿価額の総額
株主に対する配当財産の割り当てに関する事項
剰余金の配当が効力を生ずる日



普通決議にて承認されると株主総会の決議で定めた効力発生日に、株主は会社に対する利益配当請求権を取得することになります。
株主総会の決議は定時株主総会に限らず、臨時株主総会でも認められます。

利益配当を行う場合の注意点

株主に対して利益配当を行う場合、タコ足配当にならないよう、分配可能額の範囲内で行わなくてはなりません。
分配可能額とは、資本剰余金と利益剰余金の合計額から自己株式の帳簿価額を控除した額が目安です。
分配可能額の範囲内であれば、年に数回にわたり配当することも認められます。

そのほか、会社法上の規制を遵守することも大切です。
まず、純資産額規制として、会社の純資産額が300万円を下回る時は株主への配当は認められません。
また、配当することで減少する剰余金額に10分の1を乗じた額を、準備金の合計額が資本金の4分の1に達するまで、資本準備金又は利益剰余金に計上しなくてはなりません。

現物配当する場合

株主総会の決議にて、配当財産の種類を決めるとありましたが、新会社法においては、金銭以外の財産で配当を行う現物配当が可能になりました。現物配当とは、剰余金の配当を自社株や自社商品など金銭以外の資産で行うことです。
現物配当を行う場合は、原則として株主総会の特別決議が必要になります。

現物配当が選択されるケース①(孫会社を子会社化)

現物配当が選択されるケースとして、よく見られるのは、孫会社を子会社にしたいケースです。子会社が孫会社株を親会社に現物配当することで、親会社は孫会社を直接の子会社化できます。
株式を現物分配することで、会社の資産や事業形態を変えることなく、支配関係だけを変更することが容易にできます。現物分配であれば、債権者保護手続などを行う必要がなく、会社分割と比較して手続きが簡単で、短期間で実現できるのがメリットです。

現物配当が選択されるケース②(子会社保有の親会社株式の処分)

また、子会社が保有する親会社株式を処分したい場合にも活用できます。株式交換を実施して子会社が一時的に親会社株式を保有した場合、親会社の株式は保有後、相当時期に売却処分しなくてはなりません。
そこで、一時取得した親会社株式を子会社から親会社へ現物分配できれば、対価を伴うことなく、親会社株式の処分ができます。

まとめ

本日は株式会社が株主総会の決議で剰余金の配当をする手続きについて解説しました。
商業登記に関するご相談は永田町司法書士事務所までお問い合わせください。


本記事の著者・編集者

司法書士法人永田町事務所

債務整理・商業登記全般・組織再編・ファンド組成などの業務等を幅広く取り扱う、加陽 麻里布(かよう・まりの)が代表の司法書士事務所。
【保有資格】
司法書士登録証

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