官報公告の種類、日刊工業新聞とは?公告方法を変更して個別催告を省略する方法など【債権者保護手続】
日刊工業新聞で公告するには
公告の方法
公告の方法は法律上、大きく分けて3種類の公告方法が定められています。
第一に国の機関紙である「官報」に掲載する方法です。
第二が時事に関する事項を掲載する「日刊新聞紙」に掲載する方法です。
そして、第三として「電子公告」があります。
会社がどの方法を行うかは、定款で定めることができます。現状ほとんどの会社は、官報公告を採用しています。
公告方法は、登記事項となります。この公告方法を変更したい場合には、定款の変更を行い、希望する公告方法を定めて登記申請して変更いたします。
法定公告の種類
公告を行うよう法定されている事項には、以下のものがあります。
会社規定公告は定款で定める方法によります。
決算公告と株主等通知公告が主な事項です。
これに対して、官報限定公告は官報に公告することが法定されているもので、定款に日刊新聞による、電子公告によると定めていたとしても、官報で公告しなくてはなりません。
官報限定公告が求められるのは、債権者異議申述公告と会社規定公告以外の事項となります。
日刊工業新聞とは
では、日刊工業新聞に公告したい時に、どうすれば良いのでしょうか。
日刊工業新聞とは1915年に創刊した歴史ある新聞で、全国に拠点を有する、新聞業界唯一の産業専門紙です。
一般の日刊新聞とは異なり、読者の多くは企業です。
製造業からサービス業界に至るまで、産業全般に関わる最新情報を掲載し、中小企業から大企業まで購読されています。
公告にあたって確認したいのは、そもそも日刊工業新聞が「時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙」にあたるかです。
この点、日刊工業新聞は平成19年9月10日に東京法務局より、「時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙(会社法第939条1項)としての公告紙となりうる」との見解を得ています。
日刊工業新聞への公告方法
定款に時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する旨を定め、登記されていることが前提です。
掲載日の8営業日前までに、日刊工業新聞へ掲載内容のデータをメールで入稿する必要があります。
文字の大きさは6ポイント(9級)以上、ヌキ文字は8.5ポイント(12級)以上、罫線は0.3ポイント以上です。
日刊新聞への公告掲載料金は高いと思われることがありますが、電子公告の場合、電子公告調査機関による調査の費用がかかる場合や決算公告は全文掲載が必要などコスト高になってしまうケースも少なくありません。
また、日刊工業新聞の公告掲載料金はほかの日刊新聞に比べて割安です。
債権者保護手続の個別催告省略に利用
債権者保護手続きにおいては、官報公告+定款で定めた官報以外の公告方法で公告(いわゆるダブル公告)することで債権者への個別催告書送付を省略することが出来ます。
債権者の数が多い場合など個別催告を省略したい場合に、公告方法を日刊工業新聞に変更して進めるケースも実務上よく見受けられます。
まとめ
本日は官報公告と日刊工業新聞について解説しました。
日刊工業新聞は、ほかの日刊新聞に比べて費用が安いことからよく公告方法に用いられます。
公告方法の変更手続きや商業登記については永田町司法書士事務所までお問い合わせください。