契約(約束)違反の場合の対処法-契約書作成後のトラブルについて-催告及び解除通知書例
契約違反の場合はどうすればいいのか
契約書作成後のトラブル
後日の紛争を防止するために様々な場面を想定した上で、完璧な契約書を作成したとしても、残念なことに相手が「確実に」その債務を履行してくれるとは限りません。
例えば、
・金銭消費貸借契約に基づき金銭を貸したのに弁済期に弁済がされない…
・売買契約を締結して代金を支払ったのに約束の日に商品が届かない…
・業務委託契約に基づいて仕事を完成されたのに報酬が支払われない…
など、契約書で約束しているにも関わらず契約内容を相手が履行してくれない場合どうすればいいのでしょうか
①履行の催告を行う
まずは相手に、期限が到来したにもかかわらず、債務の履行がされていないことを知らせると共に、早急に対応するよう催告をします。
単にうっかり忘れていただけであれば、これで解決するでしょう。
しかし、電話やメールを送っても相手の応答がなく、確信犯的に怠っていることが明らかな場合には、内容証明郵便にて、催告書を送付します。
その際、期限を決めて、●年●月●日までに履行されない場合法的措置をとる旨通告することも有効です。
期限は、金銭債権であれば、3日~7日程度で良いでしょう。
物理的に支払えない状況でなければ、3日も与えれば十分ではあります。
②契約を解除する
相手に債務不履行があった場合相当期間を定め履行の催告をして、期間内に履行がなかった場合は解除する旨を相手に伝えれば効力が発生するのが原則となります(民法第541条)。
第541条 当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。
催告及び解除通知書の例は下記のとおりです。
なお、上記期限内にお支払いがない場合には、改めてご通知申し上げることなく本通知をもって上記賃貸借契約を解除いたします。
上記催告並びにご通知いたします。
このようなものになります。
いつ催告を行い、相当期間はいつ経過して、いつ解除の効力が生じたかを明らかにするため、配達証明付の内容証明郵便にて送りましょう。
※なお、賃貸借契約の場合には、その特殊性に注意が必要です。
解除の結果、賃借人は生活拠点となる住居や事業所を失うことになるため、1度の債務不履行では契約解除は認められず、数カ月間にわたり支払いを怠り、信頼関係を維持して契約を継続することが難しいと判断された場合に解除することが可能であります。
契約書にたとえ「1回でも賃料の支払いを怠った場合は契約を解除できる」と定めていてもです。
③損害賠償請求をする
債務不履行により、損害が発生した場合は、損害賠償請求を行うことが可能です。
もっとも、債務者が、債務不履行が債務者の責めに帰することが出来ない事由によることを立証した場合は、債権者の請求は認められません(民法415条ただし書)。
裁判所を利用する
繰返しの請求をしたが、すべて無視されているような場合、話し合いで埒が明かないのであれば、裁判所を利用するしかありません。
裁判所は簡易な手続から通常訴訟まで様々な手続が用意されています。
①支払督促
裁判所手続きの中でも最も気軽に利用できるのが支払督促制度です。支払督促は裁判所から債務者に対して金銭等の支払を命じる督促状を送ってもらえる制度です。相手方が異議を述べなければ、判決同様の効力を持ち、強制執行が可能となります。この制度は、債権回収において有効な手段であります。
なお、適法な異議の申立てがなされた場合は、訴訟手続へ移行します(民事訴訟法395条)。
②少額訴訟
訴額60万円以下で金銭の請求を目的とする場合、少額訴訟で行うことができます。少額訴訟は、たった1回の期日で完結するため簡易・迅速に手続きをすすめることができます。また、司法書士が代理人の場合、少額訴訟債権執行まで行うことが可能です。ちょっとした金銭トラブルは少額訴訟のご利用をご検討ください。
③通常訴訟
裁判官が法定で双方の主張を聴いて証拠調べを行って判決によって紛争を解決する手続となります。
判決に基づいて強制執行申立を行うことが可能です。
また、訴額が140万円以下であれば「簡易裁判」を利用することが可能です。
さいごに
いかがでしたでしょうか。
当事務所は、契約違反による催告書の作成、内容証明郵便作成、裁判手続等について、多くの実績を有しております。
これらのトラブルは、永田町司法書士事務所までご相談ください。