LLP(有限責任事業組合)の税務。出資割合と異なる損益分配を定めるときの税務上の考え方
LLP(有限責任事業組合)の税務について
パススルー課税
パススルー課税はLLPの事業に利益が出た場合、LLP自体に課税されず出資者である組合員に直接課税される制度です。
LLPは民法上の組合の特例であり法人税法2条8号の人格のない社団当等には含まれず(法人税基本通達1-1-1)構成員課税が適用されます。
LLPの税務上の扱いを民法上の組合と同様にするとしても、民法上の組合の税務はビジネス上重要なポイントでいまだ不明確な部分があります。
出資割合と損益分配割合が異なる場合
LLP法上、出資割合と異なる損益分配割合を定めることは一定限定で別段の定めをした場合可能とされています(法33条、規則36条)。
2名の組合員XとYで損益分配50:50でLLPを設立し、設立時、Aが100、Bが400の出資をしたとします。
この場合、Aは出資時に、150の利益を得たことになるのか、規則36条で認められる損益分配割合を定めたときは出資に際して課税が生じないものとなるのか現在のところ分かっていません。
考え方①
Aは100出資して100+400=500の50%である250の持分を手に入れたので250-100=150と考える
考え方②
Aは100の50%である50をBに譲渡し、Bから400の50%である200を得たので200-50=150と考える
上記のような2通りの考え方があります。
アメリカでも出資割合と個なる損益分配割合を定めることが認め荒れていますが、税法上の考え方や内容も明確ではなく実務的に出資割合と異なる損益分配割合を定める例は通常ありません。規則26条の解釈として具体的にどのような場合、損益分配割合を出資割合から乖離させることが合理的と認められるか、その場合の課税はどうしていくのか注目されるところです。
さいごに
いかがでしたでしょうか。本日はLLP(有限責任事業組合)の税務についてご紹介いたしました。
LLP(有限責任事業組合)の設立については、永田町司法書士事務所までお問い合わせください。
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