有限責任事業組合(LLP)とは何か。その特徴と概要を解説
LLP(有限責任事業組合)とは
有限責任事業組合は、原則的に共同事業を前提としています。そのため投資家=役員として意思決定をする場合に利用しやすい仕組みといえます。
特徴
投資家が事業に関わりその利益を分配する仕組み
任意組合の特例として「有限責任事業組合に関する法律」が制定されました。
投資組合の特徴は、投資家と事業に関わる人が別であることを説明しました。
(関連リンク:投資組合って何?投資組合を簡単解説)
(関連リンク:匿名組合とは?投資組合との違い、利用用途やメリットデメリットを解説)
Limited(有限)Liability(責任)Partnership(組合)
の頭文字をとって略称LLPといいます。
LLPは共同して事業を行う人たちが集まってつくることが原則です。そのため「投資家=共同事業者=役員」となります。LLPは登記をするので銀行口座を組合名義でつくることや事務所を賃貸することも可能となります(cf:任意組合の場合は、法人登記不可)
LLPは組合財産に投資をおこなうのではなく出資者自ら事業を行うことが前提となります。投資家が事業に直接携わり利益をだし、分配していく仕組みです。
そのためLLPを設立する際は、はじめからお互いに条件を詳細には決めないことが通常です。事業の状況にあわせて、みんなで意思決定をおこなっていきます。
LLPの2つの特徴
①投資家は有限責任ではない
通常の投資組合では投資家は出資するだけで、管理者が管理、運用、業務をおこないます。
(関連リンク:投資組合って何?投資組合を簡単解説)
上述したように、LLPでは役割分担はあるにしろ、投資家自身が業務執行をおこないます。
投資家がまったく事業にかからないことは出来ず、そのため投資家がLLPとして行った契約は、第三者に対し効力を有します。投資家の人数が多ければ意思決定が勝手にされてしまうこともあり、LLPが第三者に損害を与えた場合は投資家「全員」が連帯して責任を負います。
この責任は出資額以上になる場合もあります。
②損益分配比率の変更をできる
通常の投資組合では、獲得した利益は出資比率に応じて配当します。
LLPでは、投資家が役員でもあるため出資額が大きい=利益に貢献とはなりません。役員に特別な能力がありその事業に欠かせないキーパーソンであれば出資額がちいさかったとしても能力に応じて配当をもらうべきです。
投資家Aが100万円出資をしていて事業に対しては経理や管理を行っていたとします。
一方投資家Bは10万円の出資をしていて事業に対しては技術提供をし営業をしていたとしたとしてます。
事業の利益が100万円あったとした場合、通常は出資比率に応じた分配を行うべきですが、技術や営業を提供したBの方が事業への貢献度が高いため出資比率はAが多くても50:50で配当をすることが好ましくそれを可能とするのがLLPであります。
LLPでは投資家が同意すれば、自由に分配比率を変更することが可能ということが大きな特徴の1つです。ただ、理由もなく分配比率を変えれば税務上問題がでるためこの点は注意が必要となります。
このようにLLPは任意組合の共同事業という特徴を強調した制度といえます。任意組合の投資家という特徴を強調した投資事業有限責任組合は、正反対の制度といえます。
さいごに
いかがでしょうか。当事務所は800社以上の豊富な設立経験を有しております。LLPの組合契約書作成や設立に関するご相談は、会社法人手続専門の永田町司法書士事務所までお気軽にお問い合わせください。
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