新株予約権(SO)

新株予約権の行使日より前に払込みがされていた場合の登記実務

新株予約権行使手続の基本

新株予約権の行使があった場合、登記の添付書類としては、

・取締役会議事録
・行使請求書
・払込みがあったことを証する書面
・資本金計上に関する証明書

などが必要になります。
従来から銀行が発行する「行使請求取扱い証明書兼払込金受入証明書」を利用していた会社もありましたが、手数料がかかるため、多くの会社は現在「行使請求書」と「払込み証明書」を用いて手続きをしています。

払込みと行使請求の順序に関する疑問

実務で問題になるのは、「払込みが行使請求より先に行われるケース」です。

・行使請求書の日付:12月10日
・払込み日:12月3日(銀行受付印も同日)
・会社の受付日:12月10日

このように、行使請求よりも先に入金が行われると、「請求していないのに勝手に払込まれた」形になるのではないか、という疑問が生じます。

会社法の規定とコンメンタールの整理

会社法280条は、新株予約権の行使は以下を明らかにして行うと定めています。

・行使にかかる新株予約権の内容及び数
・新株予約権を行使する日

そして「新株予約権を行使する日」とは、権利者が行使の意思表示をし、かつ払込みを行う日であると解されています(会社法コンメンタール6巻269頁)。
したがって、払込みだけが先行していても行使は成立せず、払込み+行使請求が揃った日が「行使日」と整理されます。

実務上の運用

実際の現場では、
・先に払込みが行われることもある
・行使請求書の日付を「行使日」として補充記載する運用も行われている
・株懇モデル様式では「作成日」は明記せず、行使日欄のみを設けている

結論として、払込みが行使日以前に行われることは可能だが、行使日としては「払込みと行使請求がそろった日」が記録されることになります。
このため、登記申請上は、行使請求書の日付と払込み証明の整合を確認し、最終的に一致していることが重要です。

手続きのご依頼・ご相談

本日は、新株予約権の行使日より前に払込みがされていた場合の登記実務について解説いたしました。
会社法人登記(商業登記)に関するご依頼・ご相談は、司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。

本記事の著者・編集者

司法書士法人永田町事務所

商業登記全般・組織再編・ファンド組成・債務整理などの業務を幅広く取り扱う、加陽 麻里布(かよう・まりの)が代表の司法書士事務所。
【保有資格】
司法書士登録証

会社法人登記(商業登記)の

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