株式会社の役員の就任日と辞任日について解説
役員の就任日
役員の就任日については、以下のような流れで決まります。
1.株主総会での選任
株主総会で役員の選任決議が行われます。この際、株主総会議事録が必要です。
2.就任承諾
選任された人物がその役職に就任することを承諾する意思を示します。この際には就任承諾書を作成します。
就任日は、「選任の意思」と「就任の意思」が一致した日となります。選任日と就任承諾日が異なる場合、遅い日付が就任日として扱われます。
例1: 先に選任する場合
選任日: 令和7年8月31日
就任承諾日: 令和7年9月10日
この場合、就任日は令和7年9月10日となります。
例2: 先に就任承諾する場合
選任日: 令和7年9月10日
就任承諾日: 令和7年8月31日
この場合、就任承諾書には「令和7年9月10日開催の株主総会で選任されることを条件に就任を承諾する。」と明記する必要があります。
就任日は令和7年9月10日となります。
注意点:選任日と就任日が異なる場合、役員の任期は選任日を基準に計算されます。登記簿には遅い日付が就任日として記載されますが、任期満了日を計算する際には注意が必要です。
役員の辞任日
役員が辞任する場合、辞任の意思表示が会社に到達した日が辞任日となります。
辞任届の提出
辞任する役員は辞任届を会社に提出し、その日付をもって辞任する旨を記載します。
辞任日と辞任の効力
辞任届には「〇月〇日付けで辞任します」または「〇月〇日をもって辞任します」と記載されることが一般的です。この表現の違いによって、辞任の効力が発生する時間が変わります。
・「〇月〇日付けで辞任します」…その日の0時に辞任の効力が生じる。
・「〇月〇日をもって辞任します」…その日の23時59分に辞任の効力が生じる。
このように記載の違いによる解釈の差に注意し、適切な表現を選ぶことが重要です。
役員の退任日
退任日は、役員の任期満了による退任を意味します。任期満了退任の場合、以下のように決まります。
定款の規定に基づく任期
株式会社の定款には、通常「選任後〇年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで」と定められています。
例:
選任日: 令和4年10月30日
任期: 選任後2年以内に終了する事業年度の定時株主総会終結時
この場合、任期満了日は令和6年1月頃の定時株主総会の終結時となります。
任期満了時の手続き
任期満了退任の場合、辞任届のような書類は不要です。ただし、再任の場合は再度の選任決議と就任承諾が必要です。
手続きのご依頼・ご相談
役員の就任日や辞任日、退任日は、適切な手続きを踏むことで正確に設定されます。これらの日付は登記や任期に影響を与える重要な要素であるため、慎重な対応が求められます。特に、選任日と就任日が異なる場合や、辞任届の日付の表現には注意が必要です。
本日は、株式会社の役員の就任日と辞任日について解説しました。
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