合併

吸収合併に際する許認可について

主務官庁の認可が効力要件となる合併

消滅会社の事業目的に許認可事業が含まれる場合、法人の合併には、主務官庁の認可が効力要件となる場合や、合併後に事後届出が必要となる場合があります。
特に、一般貨物自動車運送事業や第二種貨物利用運送事業を行う法人が合併または会社分割を行う場合、国土交通大臣の認可を事前に取得する必要があります。この認可がないと、合併または会社分割の効力が生じません。
そのため、これらの事業を行う法人が合併や会社分割をする際には、登記申請に必要な添付書類として国土交通大臣の認可書が求められますのでスケジュールに余裕を持って手続きを進めましょう。

事前に許認可取得が必要となる対象の事業目的

一般貨物自動車運送事業(貨物自動車運送事業法第30条第2項)

貨物自動車運送事業法は、一般貨物自動車運送事業を厳格に規制しており、事業を営む者に対して個別の許可を求めています。この許可は単に事業活動を認めるだけでなく、事業の廃止や変更にも適用される規制を含んでいます。具体的には、合併による会社の消滅において、消滅会社が運送事業の許可を保有している場合、たとえ事業を承継しない場合でも、許可の取り扱いについて国土交通省または地方運輸局の承認が必要です。これは、許可が単なる登録ではなく、事業者ごとに与えられる規制対象であるためです。

貨物運送取扱事業(貨物利用運送事業)(貨物利用運送事業法第14条・第29条)

貨物利用運送事業における手続きは、第1種または第2種の区分により異なります。第2種貨物利用運送事業では合併前の許可取得が必要です。一方、第1種では合併後30日以内に届出を行う必要があります。

目的上事業者の場合

消滅会社が主務官庁の認可が合併の効力要件となる事業目的を登記している場合でも、実際にはその営業の許可を受けておらず、事業を行っていない法人である場合には、合併にあたり許認可は不要です。
ただし、認可が不要であっても、消滅会社の事業目的に「一般貨物自動車運送事業」などと登記されている場合、登記官にはその法人が目的上の事業者であるのか、法律上の事業者であるのかを判断することができません。そのため、合併登記を申請する際には、「合併の認可を要しない旨の証明書」を添付する必要があります。この書類が添付されない場合、登記は受理されません。

国土交通大臣の認可取得手順

(1)必要書類の準備と書類の提出

許可申請にあたり、①認可申請書(所定の様式に必要事項記入したもの)、②合併契約書、③事業計画書(合併後の事業体制や運行計画などを記載したもの)、④財務諸表(存続会社および消滅会社の直近の財務諸表)、⑤運行管理体制に関する資料(運行管理者や車両の配置計画)、⑥その他必要書類(必要に応じて、地方運輸局から指示された書類)を管轄する地方運輸局に提出します。
地方運輸局が申請を受理し、審査を進めます。

(2)審査と許可書の交付

地方運輸局および国土交通省が審査を行います。審査が完了し、認可が下りると、「認可書」が交付されます。この認可書は、合併登記などの際に添付書類として必要となります。審査には数週間から数ヶ月を要する場合があります。

(3)期間短縮のポイント

・提出前に地方運輸局へ事前相談を行い、必要書類を完全に揃える。
・申請内容が簡潔で明確に記載されていることを確認。
・過去の法令遵守状況を確認し、必要に応じて修正対応を早めに行う

注意点

事業目的があるだけで許可が必要

消滅会社が実際に運送事業を行っていなくても、事業目的に「一般貨物自動車運送事業」と記載されている場合、「合併の認可を要しない旨の証明書」が必要となります。

手続き漏れのリスク

許可や証明書を取得しないまま合併手続きが進むと、法的な問題や事業継続に支障をきたす可能性があります。
特に法律上の事業者であるにもかかわらず許可書の取得を漏らして進めた合併は効力を生じません(登記も当然できません)ので注意が必要です。
合併計画を進める際には、地方運輸局への事前相談を早めに行い、適切な手続きでスムーズに進めることをおすすめします。

手続きのご依頼・ご相談

本日は、吸収合併に伴う許認可について解説いたしました。
当事務所では、合併スケジュール案の作成から、関連書類の作成やドキュメンテーション支援まで、一括してお引き受けすることが可能です。
合併をはじめとする組織再編手続きに関するご依頼やご相談は、司法書士法人永田町事務所までお気軽にお問い合わせください。


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