登記申請手続(各種)

会計監査人条件付就任承諾書は登記に使用できるか?

会計監査人条件付就任承諾書は登記に使用できるか?


就任承諾書

会計監査人がはじめて就任する際の就任承諾書は、会社の登記申請において必要不可欠な書類です。しかし、総会や社員会での正式承認を待つ事情などにより、「条件付」で就任を承諾するケースもあるかと思います。今回は、「条件付就任承諾書」が登記に使用可能かどうか、その実務上の課題について考えてみたいと思います。

条件付承諾書とは

「条件付承諾書」とは、ある条件が成立したときに効力を持つとされる承諾書を指します。例えば、新しい会計監査人が「前任監査法人との引継ぎが完了した場合に就任を承諾する」といった条件を付した書類です。こうした条件付きでの就任が必要になるケースは珍しくなく、特に監査法人の交代時にはよく見られます。

条件付就任承諾書は登記に使用できるのか?

「条件付就任承諾書」は原則登記手続きに使用できないと考えてよいでしょう。商業登記法第54条第1項では、取締役や監査役、会計監査人などの就任による変更登記の申請時に、就任を承諾したことを証する書面の添付が求められています。この「就任承諾書」は、無条件での就任意思を明確に示すものでなければなりません。条件付きの承諾は、就任の意思が確定していないと解釈されるため、原則登記手続き上認められません。
ただし、事前に法務局へ相談し条件成就したことを証する書面と合わせることで条件付就任承諾書を登記に使用できるという法務局も存在するようです。

登記手続きにおける「無条件承諾」の必要性

登記申請において提出される就任承諾書は、原則無条件での承諾が求められます。これは、法務局が会社の実際の役員構成や監査人の就任状況を明確に把握し、登記情報の信頼性を確保するためです。条件が付された承諾書を認めると、登記の効力や内容の確実性が担保できない恐れがあるため、条件なしの書面を求める運用が一般的です。

条件付就任承諾書をどう扱うべきか?

それでは、条件付の就任承諾書が発生する場合、どのように対応すれば良いのでしょうか?以下にポイントを記載します。

・仮承諾として扱い、正式承諾を後日提出する
条件付承諾書は、あくまで「仮の意思表明」として内部で保管しておき、条件がクリアされた時点で改めて正式な承諾書を作成・提出する流れが理想的です。例えば、総会後に承諾が正式に確定した時点で、条件のない就任承諾書を取得し、登記に使用するのが確実です。

登記手続きが遅れないようなスケジュール調整を行う

引継ぎ日程や社員会の承認手続きが確定している場合、登記申請に必要な無条件の就任承諾書を準備するスケジュールも含めて調整しておくと、後々のトラブルを防ぐことができます。

実務上の注意点

実務上、「就任を承諾する」という内容は、条件付であれ仮承諾であれ慎重に扱うべきものです。特に登記が関わる場面では、条件付の就任承諾書が登記を阻害する原因になりかねません。実際に条件付承諾書が出る場合は、その後の登記手続きに影響が出ないよう、事前の調整が不可欠です。また、法務局の運用は地域や事案により異なる場合もあるため、最新の情報を司法書士に確認しながら対応するのが望ましいでしょう。
条件付の就任承諾書は、特に登記手続きにおいては使用が難しいと言えます。会社運営の中で避けられない事情もあるかと思いますが、登記の信頼性や効率的な手続きの観点から、可能な限り無条件の承諾書を取得するよう努めることが求められます。
条件付でしか承諾が得られない場合は、無条件の就任承諾書の取得可能日を事前に確認し、その後の登記がスムーズに行えるよう、準備段階で十分な確認と調整を行うことが大切です。

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本日は、条件付就任承諾書は登記に使用できるかについて解説しました。
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