新株予約権の行使期間の定め方・注意点・変更方法など
新株予約権の行使期間の定め方・注意点・変更方法など
新株予約権の行使期間
新株予約権の行使期間は、新株予約権者が権利を行使して株式を取得できる期間のことを指します。この期間は、会社側で柔軟に設定することができるため、事業計画や資金調達の目的に合わせて慎重に決定することになります。今回は、新株予約権の行使期間を定める際の基本的な考え方や留意点を解説します。
行使期間の設定
新株予約権の行使期間について、具体的な長さに対する規定はありませんが、会社法第236条において、新株予約権の内容として行使期間を必ず定めなければならないとされています。
行使期間の長さ
行使期間の定め方として、通常、●年●月●日から●年●月●日までという形で定めます。
ただし、この期間の定めについて、「税制適格ストックオプション」の場合は注意が必要となります。
税制適格ストックオプション(新株予約権)の行使は「新株予約権付与決議の日後2年を経過した日から当該付与決議の日後10年を経過する日までの間に行わなければならないこと」と法律で義務付けられていて、この期間を誤ると税制非適格となるおそれがあります。その他、細かい要件もありますので、税制適格要件を満たすかについて、確認が必要となります。
期間を定めることが一般的ですが、始期のみを定めたり、無期限とすることもできるとされています。
またストックオプションの要件事例を参考に上記の「決議の日後2年を経過した」を削除して「取締役会決議の日から●年●月●日まで」と定めた発行要項をたまにみますが、この定め方にしますと、新株予約権の発行前から行使期間が開始していることになってしまいます。
この場合、登記手続きをする上で「発行した日から●年●月●日まで」と修正をする必要があります。
株主総会で新株予約権を発行した場合は、再度株主総会を開いて修正をする必要があるため、これを避けるため、税制適格ストックオプションでなければ「●年●月●日まで」とだけ登記をする形で対応することが考えられます。
この点は、管轄法務局によっては修正決議を求められる可能性もあり、取扱いが異なるところですので、要確認となります。
その他、IPO準備段階でインセンティブとして活用する新株予約権の場合は、「新規公開株式の開始日から●年間」もしくは、「新規株式公開の開始日から●年●月●日まで」という形で定めることが考えられます。
新株予約権の行使期間の延長
新株予約権の行使期間を延長する決議をした場合は、その変更登記をすることが可能です。
行使期間延長に関する詳細は下記をご確認ください。
なお、新株予約権の行使期間の延長については、行使期間満了前に延長決議をする必要があります。
行使期間満了後は、たとえ新株予約権者全員の同意があったとしても、新株予約権は行使期間の満了によって消滅していますので、延長の手続きをすることはできません。
手続きのご依頼・ご相談
本日は新株予約権の行使期間の定め方・注意点・変更方法などについて解説しました。
会社法人登記(商業登記)手続きに関するご依頼・ご相談は司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。