単元株式数の減少または廃止をする場合の手続きの流れ
単元株式数の減少または廃止をする場合の手続きの流れ
単元株式の廃止
少数株主の管理コストを削るために単元株制度を導入したものの、その後、単元株式数を減少させたくなったり、単元株そのものを廃止したいと考える場合もあると思います。
この場合、どのような手続きを行えば良いのでしょうか。
このコラムでは、単元株式数を減少させる場合や廃止にする場合の手続きの流れについて、わかりやすく解説していきます。
単元株制度とは
単元株制度とは、一定のまとまった数の株式を「一単元」として設定できる制度です。
この単元株を導入した場合、一単元ごとに株主総会における議決権を行使できるようになります。たとえば、100株を一単元として単元株を定めている会社の株式であれば、500株所有で5議決権、1000株で10議決権を有しているということになります。
単元株制度は、株式分割等で株式を細分化する場合や少数株主が多くなった場合に、少数株主の権利を制限したり、株主の管理コストを抑えることができるところに、大きなメリットがあります。
単元株式数を減少させる場合または廃止する場合の手続き
1度設定した単元株を減少もしくは廃止したい場合には、定款の変更が必要となります。
ただし、単元株を減少・廃止したとしても、基本的に株主に不利益な面が少ないため、株主総会の特別決議までは不要で、取締役会の決議によって定款を変更できます(会社法195条1項)。
単元株式数を減少しまたは廃止する定款の変更を行った場合は、株主に対して通知または公告をする必要があります(会社法195条2項、3項)。
なお、種類株式発行会社であり、単元株の減少もしくは廃止により、特定の種類株主に損害を及ぼすおそれがある場合、種類株主総会の決議が必要となります(会社法322条1項)。ただし、定款で種類株主総会の決議を要しない旨の定めをした場合は、種類株主総会の決議を行う必要はありません(会社法322条2項)。また損害を及ぼすおそれのある種類株主へ通知または公告をする必要もあります。
単元株式数を減少させる場合または廃止する場合の手続きの流れ
単元株式数を減少させる場合または廃止する場合のおおまかな流れは、次の通りです。
①「単元株式数の減少または単元株の定めを廃止する定款変更」をする旨の取締役会決議
②適時開示(上場企業の場合に限る)
③損害を及ぼすおそれのある種類株主への通知または公告
④効力発生日
⑤株主への通知または公告
⑥管轄法務局へ変更登記
株主にとって不利益が少ないことから、単元株式数を増加させる場合よりも、手続きが簡略化されています。
単元株式数の登記手続
単元株式数は登記事項ですので、単元株を変更または廃止をした場合は、効力発生日から2週間以内に管轄法務局に登記申請をする必要があります。
登記必要書類
①取締役会議事録(又は取締役決定書)
②種類株主総会議事録(ある種類株主に損害を及ぼすおそれがある場合)
登録免許税は、変更・廃止いずれも、申請1件につき3万円となります(登録免許税法別表第1第24号参照)。
手続きのご依頼・ご相談
単元株式数の減少や単元株制度の廃止は、基本的に株主に不利益を及ぼすものではないことから、取締役会の決議によって定款変更ができるなど、手続き簡略化されています。
本日は単元株式数の減少または廃止について解説しました。
会社法人登記(商業登記)に関するご依頼・ご相談は司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。