株式譲渡制限に関する規定例と譲渡承認機関などについて解説
譲渡制限株式と株式の譲渡承認機関について
株式の譲渡承認
会社にとって不利益となるような第三者に株式が渡ってしまうことで、会社を乗っ取られたり、経営が困難になってしまうことを防ぐために、ほとんどの会社は、株式に譲渡制限を設けいます。
譲渡制限株式は、必ずしも全てのケースで譲渡が認められないわけではなく、定めた承認機関(株主総会や取締役会等)が承認することで譲渡することが可能です。
このコラムでは、譲渡制限株式における承認機関についてわかりやすく解説していきます。
譲渡制限株式とは
譲渡制限株式とは、株式の譲渡をする際には会社の承認を要するとされている株式のことを指します。
会社にとって望ましくない者が株主になるのを防ぐために、未上場会社の株式の多くが譲渡制限を設定しています。
譲渡承認の手続き
譲渡承認とは、譲渡制限株式を第三者に譲渡する際に、当該株式を発行する会社が譲渡について承認するかどうかの判断をする手続きです。
譲渡承認の手続きは、主に譲渡当事者が会社に対して譲渡承認を請求し、会社がそれを承認するかどうかの判断を下す、という流れで進行します。
譲渡当事者による承認請求
譲渡当事者による譲渡承認の請求にあたっては、①譲渡する株式の数、②株式の譲受人の氏名、③「会社が譲渡の承認をしない場合、会社もしくは指定買取人が買い取ることを請求する」場合にはその旨、を明らかにする必要があります。
この譲渡承認の請求は、当該株式の譲渡人および譲受人のいずれからでも行うことができますが、譲受人が請求する場合には、原則、譲渡人と共同で請求する必要があります。
承認機関による譲渡の承認
譲渡承認機関は、取締役会設置会社であれば取締役会にする場合が多く、それ以外の会社であれば株主総会としている会社が多いです。
取締役会設置会社であっても、株式の譲渡承認機関は株主総会のままにすることも当然可能です(取締役会に変えなければならないわけではありません)。
むしろ親子会社関係において、親会社が子会社売却(株式を譲渡)する際に、子会社の取締役会の承認を要する形にするのはどうなのかということで、取締役会設置会社ではあるものの、譲渡承認機関は株主総会にしている会社も見受けられます。
また、定款でそれ以外の機関を定めることも可能となっており、たとえば代表取締役を承認機関として設定することも可能です。
株式譲渡承認決議
承認決議は、取締役会であれば出席取締役の過半数による決議、株主総会であれば普通決議で行います。
なお、会社の取締役が譲渡当事者である場合、当該取締役は特別利害関係を有する取締役になるため、取締役会での承認決議に参加することはできません。
ただし、株式譲渡については、あらかじめ会社との間で話し合いがついてるケースが多いので、承認がなされないケースは多くはありません。
もし、譲渡が承認されなかった場合には、当該株主の意向次第で、会社もしくは指定買取人が当該株式を買い取る必要が生じます。
株式の譲渡制限に関する規定
株式の譲渡承認に関する規定例としては、下記のようなものが挙げられます。
会社の状況に応じた提案・設定をしていくのが望ましいでしょう。
手続きのご依頼・ご相談
譲渡制限株式の承認機関は、取締役会設置会社であれば取締役会、それ以外の会社であれば株主総会とする場合がほとんどですが、定款で代表取締役を承認機関として設定することも可能です。
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