役員等の責任を限定する定款の定めとは?要件や免責の流れを解説
役員等の責任を限定する定款の定めとは?要件や免責の流れを解説
役員等の責任を免除する方法
役員等の責任を免除する方法
取締役などの役員が会社や第三者に損害を与えた場合、その損害を賠償する責任が生じますが、賠償責任があまりにも広範に及ぶ場合、賠償請求を恐れて積極的な経営判断ができなくなる恐れがあります。
そのため、一定の条件のもと、役員等の責任を軽減するための規定を設けておくことが、会社法で認められているのです。
この記事では、定款により役員等の責任を限定する方法について、わかりやすく解説していきます。
役員等の責任を免除する方法
会社法で規定されている、役員等の責任を免除する方法は、主に次の4つです。
株主総会の特別決議による責任の一部免除(会社法425条)
定款の定めに基づく取締役・取締役会の決定による責任の一部免除(会社法426条)
定款の定めに基づく責任限定契約による一部免除(会社法427条)
この記事では、主に④の方法について詳しく解説していきます。
定款の定めに基づく「責任限定契約」による責任免除
業務執行をしない取締役については、一定の範囲しか責任を負わない旨をあらかじめ定款に定めておくことで、その責任の範囲を限定することができます(会社法427条1項)。
取締役会の決議による責任免除の場合、決議内容によってはその責任が免除されない可能性がありますが、責任限定契約を結んでおけば、確実にその責任を限定することができます。
責任免除の要件
責任免除の要件は次の通りです。
職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないとき
責任限定契約に関する定款の定めがあること
責任免除の範囲
「定款で定めた額の範囲内であらかじめ株式会社が定めた額」と「最低責任限度額」とのいずれか高い額を限度とする(会社法427条1項)。
定款変更の方法
取締役の責任を限定するための定款変更を行う場合、次の行為が必要となります。
株主総会に議案を提出するための監査役の同意(会社法427条3項・425条3項)
なお、取締役の責任を限定する規定は、第三者に公示する必要があることから、当該定款の定めは、株式会社における登記事項となります(会社法915条1項・911条3項25号)。
責任免除の流れ
責任を限定する定款の規定を基に責任を免除してもらう流れは、次の通りです。
各機関の意思決定の必要なく、損害が免責される
任務懈怠によって損害を免責されたことにつき、株主総会での報告義務(会社法427条4項)
お手続きのご依頼・ご相談
役員等が会社や第三者に対する責任を負う場合でも、定款であらかじめ責任を限定する旨の規定を設けておくことで、一定の責任を免除してもらうことができます。
定款変更・商業登記などに関するご依頼ご相談は司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。