役員 / 法人手続

役員等の責任免除に関する定款の定めは有効?要件や免責の限度額について解説

役員等の責任免除に関する定款の定めは有効?要件や免責の限度額について解説

 

役員等の責任免除に関する定款の定め

役員等は、その職務上の行いについて会社や第三者に損害を与えた場合には、その損害を賠償する義務を負います。
近年、役員等に対する責任が広く認められる傾向にあり、その損害賠償額は高額化傾向にあります。
役員自らが積極的に関与していない場合でも、その責任が認められるケースがあり、社外取締役にとっては大きな負担になりかねません。
そこで、賠償請求を恐れて経営判断に悪影響を及ぼさないように、会社法では取締役の責任を免除できる規定が存在します。
この記事では、定款により役員等の責任を免除する方法について、わかりやすく解説していきます。

役員等の責任を免除する方法

会社法で規定されている、役員等の責任を免除する方法は、主に次の4つです。

総株主の同意による責任の免除(会社法424条)
株主総会の特別決議による責任の一部免除(会社法425条)
定款の定めに基づく取締役・取締役会の決定による責任の一部免除(会社法426条)
定款の定めに基づく責任限定契約による一部免除(会社法427条)

この記事では、主に③の方法について詳しく解説していきます。

定款の定めに基づく「取締役・取締役会の決定」による責任免除

役員等が会社に対して、会社法423条1項に基づく損害賠償責任を負う場合でも、取締役の過半数の同意(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)によって、その責任を免除できる旨の規定を定款で定めることができます(会社法426条)。

責任免除の要件

責任免除の要件は次の通りです。

取締役が2名以上かつ監査役等が設置されている会社であること
当該取締役が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がない場合
責任の原因となった事実の内容、当該役員等の職務の執行の状況その他の事情を勘案して特に必要と認めるとき
取締役会の決議によって取締役の責任の免除できる定款の定めがあること

 

責任免除の範囲

責任が免除される範囲は、株主総会の特別決議に基づく責任の一部免除の場合と同様です(会社法425条1項)。

定款変更の方法

取締役の責任を免除するための定款変更を行う場合、次の行為が必要となります。

株主総会の特別決議(会社法309条2項11号・466条)
株主総会に議案を提出するための監査役の同意(会社法426条2項・425条3項1号)

なお、取締役の責任を制限する規定は、第三者に公示する必要があることから、当該定款の定めは、株式会社における登記事項となります(会社法915条1項・911条3項24号)。

責任免除の流れ

責任を免除する定款の規定を基に責任を免除してもらう流れは、次の通りです。

取締役会の決議を経る(会社法426条1項)
取締役会に議案を提出するための監査役の同意(会社法426条2項・425条3項1号)
取締役の責任免除について、遅滞なく株主に対して通知を行う(会社法426条3項)
一定期間の間に、総株主の議決権の3%以上の議決権を有する株主が異議を述べないこと(会社法426条7項)

 

手続きのご依頼・ご相談

役員等が会社や第三者に対する責任を負う場合、定款であらかじめ責任免除に関する規定を設けておくことで、一定の責任を免除してもらうことができます。
責任限定契約や取締役・取締役会の決定による責任免除規定に関する定款変更を検討中であれば、司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。

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