事業目的

人材派遣会社を営もうとする会社が定款の事業目的を変更する際に注意すべき点

人材派遣会社 定款の事業目的に関する注意点


労働者派遣事業

人材派遣会社とは、労働者派遣事業を行う会社です。
人材派遣会社を営むには、労働派遣法に基づいた厚生労働大臣の許可を受ける必要があります。
労働者派遣事業には、許可制の一般労働派遣事業と届出制の特別労働派遣事業がありましたが、平成27年9月の法改正によってその区分は無くなりました。したがって現在では、全ての労働派遣事業は許可制となっています。労働派遣事業の許可を得るには、以下の要件が必要になります。

①株式会社を設立する
②事業所ごとに一人の派遣元責任者を置く
③キャリア形成支援制度を実施する
④事業所を設ける
⑤一定の財産要件をクリアする
<財産的基礎>-基準資産額が2,000万円×事業所数以上あること
-基準資産額が負債の総額の7分の1以上であること
-会社名義の現金・預金の額が1,500万円×事業所数以上あること
⑥定款に記載する事業目的に「労働派遣業を行う」旨を記載する


定款に記載する文言

定款において事業目的を、「人材派遣業」と記載していても、定款認証や登記上は問題ありません。
しかし、実際に許可を受ける際、「労働派遣事業」と記載していなければ許可を受けることができないので注意が必要です。
定款の事業目的を「人材派遣業」としてしまった場合、許可を受ける際、窓口で正しい名称に目的を変更するように求められる可能性があります。
したがって、定款作成時において、事業目的を「労働派遣事業」としておきましょう。なお、すでに許可を受けて人材派遣業を営んでいる場合は、許可更新時までに事業目的を正しい名称に変更すれば問題ありません。

事業目的の変更手続き

事業目的を変更するには、定款変更を伴うため、株主総会の特別決議が必要になります。
株主総会での特別決議は、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成が要件となります。
会社で株主総会を開いて決議を行い、株主総会議事録を作成します。株主総会議事録は、登記申請の添付書類として法務局に提出します。登記には1週間~2週間程度かかります。登記完了後、変更した事業目的の記載された登記簿謄本が取得可能になります。
定款の目的を「労働者派遣事業」に変更したからといって必ず許可を得られるわけではありません。また、定款の目的を「労働者派遣事業」と記載したからといって直ちに許可申請をする必要はありません。
今後、営む予定がある場合は、設立時にあらかじめ「労働者派遣事業」をいれておいて、実際に必要となるときまで許可申請をしないでおくということも可能です。
実際に人材派遣事業を行う際は、必ず厚生労働大臣の許可を得ます。当然ですが、無許可での派遣事業は違法であり、厚生労働省によって事業者名は公表されます。また、場合によっては1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処されますので、必ず正しい手続きを踏んでいただく必要があります。

労働者派遣法
第 2 条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるとこ ろによる。
1、労働者派遣 自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指 揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることをいい、当該他人に 対し当該労働者を当該他人に雇用させることを約してするものを含まないもの とする。
2、派遣労働者 事業主が雇用する労働者であって、労働者派遣の対象となるものをいう。労働者派遣事業・労働者派遣を業として行うことをいう。


(労働者派遣事業の許可)
第 5 条 労働者派遣事業を行おうとする者は、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。
第5 章 罰則
第59条 次の各号のいずれかに該当する者は、1 年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
1 第4 条第1 項又は第15条の規定に違反した者
2 第5 条第1 項の許可を受けないで労働者派遣事業を行った者


手続きのご依頼・ご相談

本日は人材派遣会社を営もうとする会社が定款の事業目的を変更する際に注意すべき点などについて解説しました。
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