新株予約権(SO)

新株予約権付融資(スタートアップ支援)について解説

新株予約権付融資(スタートアップ支援)について解説


新株予約権付融資

スタートアップにとって、いかに資金調達をするかは、事業拡大する上で最も重要な課題といえます。日本政策金融公庫では、新株予約権付き融資といって、必要な資金を無担保で供給する仕組みを設け、スタートアップの支援を行っています。新株予約権とは、発行時に定められた価額で、所定の株数の株式を所定の期間内に取得することができる権利です。新株予約権付融資の概要は、以下の通りです。


新株予約権付融資

新株予約権付融資の概要

①融資限度額

本制度の融資及び社債の合計の限度は14億4千万円です。ただし、取得する新株予約権は、原則として、新株予約権を行使したものとして算出される株式数が、発行済株式総数を超えないものとします。

②新株予約権の行使価額

株価の変動にかかわらず、新株予約権取得時の株式の時価が行使価額となります。

③社債金額又は貸付額と新株予約権の行使に際して払込みすべき金額の割合

原則として1:1です。

④新株予約権の発行価額

発行価額は無償です。

⑤利率(年)

基準利率の上限は2.5%です。

⑥返済期間

返済期間は最大20年で、うち据置期間10年以内です。

⑦予約権割合

原則として100%個別事情を勘案のうえ、10%を下限に決定します。(予約権割合=行使価額の総額/融資金額)

⑧新株予約権の行使

日本政策金融公庫が、新株予約権を行使して株式を取得することはありません。原則として、株式公開時など、一定の条件に達した場合に、経営責任者などに対し新株予約権を売却します。新株予約権の売却時期については、株式の時価が行使価額の2倍以上となった場合または株式公開する場合のいずれかを融資時に選択できます。

⑨行使期間

新株予約権発行日から償還期限までが行使期間です。

⑩その他

社債及び新株予約権の発行にあたっては、取締役会や株主総会の開催等、所定の社内手続きを要します。会社法上の手続き規定を経て発行しなければ登記することができません。

発行する際の注意点

このように、新株予約権付融資を発行することで、日本政策金融公庫から必要な資金を無担保で受けることができます。新株予約権付融資を発行するには、会社法上の規定に沿って手続きを経なければなりません。発行する上での注意点は以下の通りです。

①発行可能株式総数が足りているか

新株予約権とは、行使するまでは発行済株式総数に変化はありません。しかし、行使がなされれば発行済株式総数は増加します。したがって、新株予約権者が新株予約権を行使して取得する株式の数は、発行可能株式総数から発行済株式(自己株式を除く)の総数を控除した数を超えることはできません(会社法113条4項)。新株予約権付融資の新株予約権の行使期間は発行日からなので、発行日までには発行可能株式総数の数を調整しておかなければなりません。

②種類株式総会の決議の要否

一定の事項を決議する場合につき、ある種類の株式の種類株主に損害を及ぼすおそれがあるときは種類株主総会の決議を要します(会社法322条1項)。また、株式の内容として種類株主総会の決議があることを必要とする旨の定めがあるときにおいても、種類株式総会の決議を要します(会社法323条・会社法108条1項)。そして、発行可能(種類)株式総数の変更を行う場合は種類株主総会の決議を要します(会社法108条1項8号)。ま新株予約権の目的である株式が種類株式である場合(当該種類株式に係る種類株主総会の決議を要しない旨の定款の定めがある場合を除く)、当該種類株主総会の決議を要します(会社法238条4項)。

手続きのご依頼・ご相談

本日は新株予約権付融資について解説しました。
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