法人設立

株式会社設立時に定款認証で求められる実質的支配者の特定【ケース別】

株式会社設立時に定款認証で求められる実質的支配者の特定【ケース別】

株式会社の設立時に定款認証で求められる実質的支配者には法人も含まれる

実質的支配者は自然人とされていますが、ここでいう自然人には、国や地方公共団体、人格のない社団又は財団、上場会社やその子会社などの法人も含まれます。
そこで、発起人に法人も含まれる場合のケーススタディをしていきましょう。

発起人が法人1社である場合

発起人が法人1社である場合、議決権の100%を保有しているので、法人が実質的支配者と言えます。
その法人が国や地方公共団体であれば、実質的支配者は法人と解して問題ありません。
一方、法人が株式会社などの場合、実質的支配者が誰かは、発起人である法人の株主までさかのぼることが必要です。
たとえば、その法人の議決権を51%保有している人がいれば、その人が新たに設立する会社についても実質的支配者になります。

発起人が法人1社と個人名である場合

議決権の割合により実質的支配者が異なります。
たとえば、個人が51%、法人が49%なら、51%を有する個人が実質的支配者です。
逆に、法人が51%、個人が49%の場合は、単純に法人が実質的支配者となるのではなく、その法人の議決権を有している株主の割合から考えなくてはなりません。
では、それぞれが50%ずつの場合はどうでしょうか。
50%超しの議決権保有者はいませんが、25%を超える議決権を保有する法人と個人が実質的支配者になります。
ただし、その個人が発起人となる法人の議決権を50%超しで保有している場合、法人の議決権は個人が間接保有している状態といえ、実質的支配者は個人のみです。

発起人が法人2社の場合

発起人がX社とY社とします。
たとえば、X社が51%、Y社が49%の場合、原則として議決権の50%を超えているX社が実質的支配者となります。
ただし、Y社がXの親会社である場合には、実質的支配者はY社となります。
X社が50%、Y社が50%の場合、50%超しの議決権保有者はいませんが、25%を超える議決権を保有するX社とY社が実質的支配者です。
この点、X社、Y社の株式をそれぞれ51%超しで保有する個人Aまたは法人A社がいた場合、このケースは間接保有となります。
そのため、実質的支配者は間接保有者である個人Aまたは法人A社です。

法人の場合の注意点

実質的支配者という名称のごとく、誰が実質的支配者かは実質的に考えなくてはなりません。
そのため、発起人が法人の場合は注意が必要です。
なぜなら、その法人の株式を保有している者までさかのぼって判断することが必要となるためです。

手続きに関するご依頼・ご相談

本日は株式会社設立時に定款認証で求められる実質的支配者の特定について解説しました。
会社法人登記手続きに関するご依頼・ご相談は司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。


本記事の著者・編集者

司法書士法人永田町事務所

債務整理・商業登記全般・組織再編・ファンド組成などの業務等を幅広く取り扱う、加陽 麻里布(かよう・まりの)が代表の司法書士事務所。
【保有資格】
司法書士登録証

会社法人登記(商業登記)の

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