役員変更 / 登記申請手続(各種)

役員の兼任禁止規定を横断解説!同一会社の役員禁止規定、指名委員会等設置会社における兼任禁止、親子会社における兼任禁止規定

兼任の禁止


兼任禁止規定の趣旨

兼任の禁止とは、同時に複数の役員に就くことを禁止することをいう。
会社法では兼任禁止の規定があり、それを無視して役員変更の登記をすることはできない。
例えば、A社を親会社、B社を子会社とした場合、A社の監査役は、A社・B社の取締役・支配人・使用人、B社の会計参与・執行役を兼任することが禁止されている(会社法335条2項)。
したがって、A社の監査役がB社の取締役として就任承諾をしたとしてもその旨を登記することはできない。
親子会社間においては、親会社の立場の方が上になるので、立場の弱い者が立場の強い者を監査することはできず、会社法には兼任に関する規定が定められている。
同一の会社においても、それぞれの役員の立場を考えて、力関係が及んでしまう立場の者を兼任させてもう一つの役員に就任させることはできないように定められている。

権利義務承継について

また、取締役Xが辞任し、当該株式会社の監査役になることを承諾したとしても、Xが取締役としての権利義務を承継している場合、Xを監査役に選任させることはできない。権利義務承継とは、取締役などの任期満了や辞任などによって退任したとしても、新たに選任された役員がその役員の有する権利義務を継承するまでは、退任後もその権利義務を継承しなければならないとする規定である(会社法346条1項)。役員変更の登記を行う場合は、兼任禁止の規定のみでなく、その者の権利義務の継承についても考慮して申請しなければならない。このように、会社法では、役員の立場や力関係を考慮し、以下のように兼任禁止の規定が設けられている。

兼任禁止規定の例


同一の会社の役員禁止規定

① 取締役と監査役(会社法335条2項)
② 支配人その他の使用人と監査役(会社法335条2項)
③ 代表取締役と支配人
④ 会計参与と監査役(会社法333条3項1号)
⑤ 会計参与と取締役(会社法333条3項1号)
⑥ 会計参与と支配人その他の使用人(会社法333条3項1号)


指名委員会設置会社における兼任禁止規定

① 執行役と会計参与(会社法333条3項1号)
② 取締役と支配人その他の使用人(会社法331条4項)
③ 監査委員と執行役若しくは業務執行役(会社法400条4項)


親子会社における兼任禁止規定

① 子会社の取締役と親会社の監査役(会社法335条2項)
② 子会社の支配人その他の使用人と親会社の監査役(会社法335条2項)
③ 子会社の監査役と親会社の会計参与(会社法333条3項1号)
④ 子会社の取締役と親会社の会計参与(会社法333条3項1号)
⑤ 子会社の支配人その他の使用人と親会社の会計参与(会社法333条3項1号)
⑥ 子会社の取締役・支配人その他の使用人・監査役・会計参与と親会社の会計監査人(会社法337条3項2号)


会計監査人となることが出来ない場合

また、会社法337条3項2号では、次に掲げるものは会計監査人となることができない旨が定められている。
・株式会社の子会社若しくはその取締役、会計参与、監査役若しくは執行役から公認会計士若しくは監査法人の業務以外の業務により継続的な報酬を受けているものまたはその配偶者

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本日は役員の兼任禁止規定について解説しました。
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