法人手続

役員が変更できない事由、役員の欠格事由や改正論点を解説

役員が変更できない場合とは


役員変更手続き

会社において、役員は、会社を組織する重要な役割を担っており、その顔ぶれが変われば会社の実質的な面も変わってくる。
ゆえに、役員の変更は会社法の規定や定款に従って的確に行わなければならず、登記できない事由に当たる場合、役員の変更は不可能となる。では、役員変更が不可能となる事由について挙げてきたい。

役員就任決議要件

例えば、役員の就任決議要件は、株主総会の普通決議である。A社において、新たに取締役を就任させたい場合、株主総会によって取締役を選任する。
その際、議決権を行使することのできる株主の議決権の過半数を有する株主が出席しなければならず、その株主の過半数の賛成をもって、取締役の就任を決定することができる。
定款によって議決権の3分の1未満とすることもできる。新たな取締役の就任を登記しなければならないが、その際に添付する株主総会議事録に記載された議決件数が普通決議の要件に満たない場合、新たな取締役の就任を登記することができない。
また、役員の選任決議が有効であるとしても、新たに選任された役員が、役員就任に承諾していなければならない。したがって、その意思を証した書面である就任承諾書を、役員変更の登記の際に添付しなければ、登記することができない。例えば、株主総会の決議によって、X有名芸能人を取締役に選任したとしても、Xの就任の承諾を証する書面が提供できなければ、勝手に会社の取締役に就任させることはできないのである。

役員の欠格事由

次に、選任された役員に欠格事由がある場合は登記することはできない。
各機関の欠格事由は会社法に定められている。会社法331条には、取締役の欠格事由が定められており、1項①法人、(②削除規定)③一定の法律に定められた罪によって刑に処され、その執行を終わり、またはその執行を受けることがなくなった日から2年を経過していない者、④上記以外の法令に違反し、禁固刑以上の刑に処され、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者は、取締役となることができない。会社法333条では、会計参与の欠格事由が定められており、1項、公認会計士若しくは監査法人又は税理士若しくは税理士法人でないもの、3項①株式会社又はその子会社の取締役、②業務停止処分を受け、その停止期間を経過しない者、③税理士法の規定により税理士業務を行うことができない者は、会計参与となることができない。会社法335条では、監査役の資格について定められており、331条1・2項、331条の2を準用する旨、株式会社若しくはその子会社の取締役若しくは支配人その他の使用人又は当該子会社の会計参与若しくは執行役を兼ねることはできないとされている。

成年後見制度についての改正点

令和元年改正前会社法331条には、成年被後見人若しくは成年被保佐人又は外国の法令上これらと同様に扱われる者は、欠格事由として定められていた。しかし、成年後見制度の活用を促進するために、この規定は削除された。改正後においては、331条の2にて、1項成年被後見人の同意上で成年後見人が就任承諾をしなければならない旨、2項被保佐人が取締役に就任するには保佐人の同意を得なければならない旨が定められている。未成年者に関しても同様の扱いであり、親権者の同意があれば役員となることができる。
しかし、就任の欠格事由とはならないとしても、取締役として既に就任しているものが、成年被後見人の認定を受けた場合は委任の終了事由となる。この他に、破産者に関しても同じような扱いとなり、欠格事由とはならないが、就任中の役員が破産した場合は、委任終了事由とされ、株主総会の決議をもって再任しなければ委任は終了となる。

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本日は役員変更に関する基本論点について解説しました。
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