事業年度変更で役員等の任期へ影響を及ぼす場合
事業年度変更は役員等の任期へ影響するか?
事業年度の変更方法
定款を変更することで事業年度の変更をすることが可能です。
定款変更は株主総会の決議を必要とする案件で、株主総会で承認されることで変更をすることができます。
事業年度を変更した場合は「異動届出書」を税務署へ提出し、手続きが終われば完了となります。
事業年度変更には登記が不要なので、手続き自体はさほど難しいものではありません。
任期に影響を及ぼす事業年度変更
ポイントは、定款を変更することにより事業年度を変更すると、役員の任期にも影響が出ることです。
短縮された事業年度に沿って役員の任期も短縮されることになりますので、その点は十分に理解しておきましょう。
任期に影響を及ぼす具体例
取締役の任期が、原則通り選任後2年内の定時株主総会までとなっている企業を例に挙げましょう。
たとえば、現行の事業年度が1月1日から12月31日までだった株式会社において、令和4年2月20日の定時株主総会で取締役が選任されたとします。
その後令和5年6月26日の臨時株主総会で事業年度を毎年4月1日から翌3月31日までに変更した場合、先の選任された取締役の任期は大幅に変わるのです。
役員の任期満了は定款変更後でも遡ることはありませんので、令和5年2月に開催されたであろう定時株主総会が最終の定時総会となります。
つまり、実際には、この取締役の任期は臨時総会による定款変更の効力が発生した時点(令和5年6月26日)に満了となるのです。
会社法では変更後の最初の事業年度の期間は1年6ヶ月以内であれば違法にはあたりません。
役員任期の計算はシビアに行う必要がありますので、判断を誤らないようにしてください。
事業年度を変更するメリット・デメリット
事業年度変更のメリットは、場合によっては節税対策になったり、資金繰りが楽になったりする場合があることです。
複数の法人などを有していると、業務全体がスムーズになる場合もあるでしょう。
デメリットは、事業年度は1年を超えることはできないため、変更年は1年以内に決算を迎える点です。
当然、短期間で決算作業が必要となり、コストが例年よりかかる場合もあります。
また、前述した通り、現行役員などの任期にも直接影響するため、その点は事前にしっかり計画しておかなければなりません。
もちろん、これは企業にとってデメリットになるというわけではありませんが、任期や新しい選任者も含め事前に新しい体制を構築し、株主総会の決議を行うことが必要です。
手続きのご依頼・ご相談
本日は事業年度変更によって役員等の任期へ影響を及ぼす場合について解説しました。
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