役員変更 / 登記申請手続(各種)

取締役の解任決議を行うリスクと定款で任期を短縮して退任させるリスク



株主総会で取締役を退いてもらうにはどうすればいい?


株主総会で取締役の解任決議をするには

不正行為をした、会社の利益に大きな影響を及ぼす経営判断のミスなどを行った取締役を解任するにはどうすれ良いいのでしょうか。
取締役の選任は株主総会の決議事項の一つですが、解任の決議も可能です。
もっとも、一部の株主権限の乱用で、簡単に取締役を解任できるとすれば、ほかの株主や会社の利益に悪影響が及びます。
そのため、解任決議は株主総会決議が必要です。特別決議ではなく、普通決議となります。
つまり、議決権の50%を上回る株主が出席し、出席した株主の過半数が賛成することです。
ただし、株式会社によっては、取締役の解任が容易にできないよう、定款でより厳しい要件を定めている場合もあるので、要件の確認は必須です。

正当な理由なき解任と損害賠償請求

株主総会による取締役の解任は、特別な理由がなくても決議が通れば成立します。
もっとも、任期満了前に株主総会決議で解任された取締役は、決議に正当な理由がないと考えれば、会社に対して損害賠償請求を行うことが可能です。
解任に正当な理由があるかどうかの立証責任は、裁判で訴えられた会社側にあります。
そのため、単純な理由や小さなミスで解任して正当理由が認められないと、会社が賠償請求金を払わされて、結果的に株主の利益が害される場合もあります。

正当な理由が認められた事例

正当な理由がないと訴える取締役と、正当な理由を立証する責任がある会社ですが、正当な理由ありと認めるかどうかは、裁判所の判断にかかっています。
これまでの損害賠償請求事例で正当な理由が認められた事例としては、横領や背任など会社に損害を与えた場合やその他の法令、定款違反をした場合をはじめ、経営判断の失敗、職務遂行能力を著しく欠くなど、著しい不適任と認められる場合や取締役の心身の故障がある場合などです。
逆に、正当な理由が認められなかった判例としては、特に経営判断ミスなどもしていないのに株主がその取締役を気に入らないだけのケースや取締役にしたい人物が見つかったため、任期途中であまり役に立たなそうな取締役を解任したいといった場合が挙げられます。

定款に定められた任期を短縮して任期満了退任させる場合

任期10年として選任された役員が任期1年を経過した途中で、役員の任期を1年とする定款一部変更決議が承認された場合は、承認と同時に当該役員の任期はただちに終了いたします。
ただし、この場合も、正当な理由なく、任期を短縮し役員を退任させた場合、会社は役員に対して損害賠償のリスクを負います(残りの任期分の役員報酬を請求が可能となる余地がある)ので、このような任期短縮を行い退任していただく場合は、任期短縮に関する同意書をもらうなどしておきましょう。

円滑に取締役に退いてもらうには

正当理由なく、任期途中で取締役の解任決議を行うと、裁判で揉めるおそれもあります。
これを避けるには、退いてほしい取締役の任期満了を待って、株式総会決議で再任しないようにする方法もあります。
もっとも、任期満了まで年月が長いと、その間に会社や株主にとって不利益が生じるかもしれません。
株主総会で意見を述べるなどし、取締役自ら辞任するような方向に持っていくのも一つの方法です。

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本日は役員の解任と退任について解説しました。
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