法人手続

監査役報酬の決め方と代表取締役への一任の可否



監査役報酬の決め方と代表取締役への一任の可否


監査役の役割

監査役の報酬について、代表取締役会に一任できるかを考えるにあたっては、そもそも監査役は会社においてどんな役割を担う存在か理解しておくことが大切です。
監査役は取締役の職務の執行を監査することで、会社が健全に経営される担保をしています。
株主の利益に資しており、取引先や顧客に迷惑がかからないよう、取締役が会社に損害をもたらすような行為をしていないか、不正な資金流用や粉飾決算などをしないかを監視しているのです。

監査役報酬に関する会社法のルール

監査役の報酬を代表取締役が決められるのかを見る前に、そもそも監査役の報酬はどうやって決めるべきなのでしょうか。
監査役の報酬の決め方は、会社法第387条にきちんと定めがありますので、このルールを守ることが基本です。
それによれば、監査役の報酬は、定款に額を定めておくか、定款の定めがない場合は株主総会の決議によって定めるとあります。
なお、監査役は株主総会で意見を述べることが可能です。
また、監査役が2人以上の複数名いる場合に、定款や株主総会の決議で、個々の金額が定められず、総額だけが決められている場合は、監査役の間で協議を行って決めると規定されています。

代表取締役へ一任できるのか

この点、監査役と同じ会社の機関である取締役の報酬はどのように決められるかというと、やはり定款に定めるか株主総会の決議によります。
もっとも、株主総会の決議では、個々の取締役の報酬額を定める必要はなく、総額のみでもかまいません。
そして、個々の取締役の報酬をどのように決めるかは、取締役間の協議ではなく、株主総会において、代表取締役に一任することを決めても良いとされています。
そこで、監査役の報酬についても、株主総会の決議において、報酬の総額を決めるだけでなく、代表取締役に一任することを決定できるかが問題になります。
これについては、監査役の役割を考えれば、認められるべきではありません。

なぜなら、監査役は取締役の業務を監督し、不正などがあれば正して、株主や会社の利益を守るべき立場にあるからです。
もし、代表取締役が自分たちの報酬額を決めるとなれば、不適切な報酬の調整などによって代表取締役への監視の目が緩くなることや不正があっても見逃すというリスクが生じます。
一般的には報酬を決める側が上に立つ関係になるため、代表取締役を監督する立場にある監査役の報酬を代表取締役に一任するべきではありません。
一任することで、株主にとっても会社経営の健全性が守られず、不利になるためです。

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本日は監査役報酬の決め方と代表取締役への一任の可否について解説しました。
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