相続、遺産承継業務 / 遺言書

明らかに不当な遺言書が見つかった場合の対処方法



明らかに自分に不当な遺言の内容だった場合、何か言えないか


不当な遺言だった場合どうすればいいのか

亡くなられた人(被相続人)が遺言書を残している場合、その中身が、明らかに自分にとって不当であると判断できる遺言内容だった場合、どのような方法を取ればよいのでしょうか。

被相続人の財産を誰にどのくらい与えるかなどの処分については、被相続人の意思が最大限に優先されることとなります。
それは、自分の財産は自分で自由に処分できるという民法の考え方からです。

遺留分侵害額の請求

ただし、民法には、相続人が最低限貰える範囲を定めた、遺留分という制度があります。
この遺留分として法律で認められた範囲の財産まで他の相続人が取得するとなっている内容の場合には、最低限自分が相続することができる遺留分の請求を行うことが可能となっています。
この請求のことを「遺留分侵害額の請求」と言います。

遺言が見つかった場合やるべきこと

まず、遺言書が見つかった場合、自筆証書遺言と秘密証書遺言については家庭裁判所の検認を受ける必要があります。この検認は、遺言書の形状,加除訂正の状態,日付,署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして,遺言書の偽造・変造を防止するための手続なので、遺言の有効・無効は判断されません。
そこで、最初に遺言書の検認が終わったら、その遺言書が法的に有効なものか否かを確認することが重要となります。
ポイントとしては次のようになります。
まず、自筆証書遺言や秘密証書遺言では、民法の要件を満たしているかどうかの確認をします。民法の要件を満たしていなければ、遺言書は無効なものとなります。

遺言書の効力を確認

また、遺言書を作成した日付の当時に被相続人がしっかりと意思表示ができる状況下にあったかどうかもポイントとなります。認知症などで意思能力がなかったと判断されれば、その遺言は無効になります。公正証書遺言であっても、作成当時意思能力がなかったとして、遺言が無効とされた裁判例もあります。
そのため、まずは遺言書自体が、本当に効力があるのかを確認する必要があるわけです。

法定相続分

もし、効力がないとなれば、その遺言書の内容に対して不当であると請求する必要性もなくなるというわけです。そのため、遺言書の偽造が疑われたり、意思能力に疑いがあるときは、相続人同士で遺言無効についての話し合いを行い、合意が得られなかった場合には、調停や遺言無効確認の訴えを提起することができます。
遺言書が有効であった場合は、自己の遺留分を侵害する内容で財産を取得した者に対して遺留分侵害額の請求をする方法が考えられますが、もしも遺言書が無効であった場合、法律に則って、法定相続分が適用されることとなります。
つまり、誰がどのくらい貰えるかというのは、民法に定めがあるということになります。これを法定相続分といいます。

配偶者と子1人の場合であれば、配偶者が2分の1を。子が残りの2分の1を相続することになります。
また、配偶者と、亡くなられた方(被相続人)の親が相続をする場合は、配偶者が3分の1となり、親が残りの3分の1を相続することになります。
その他、相続人が配偶者と、亡くなられた方(被相続人)の兄弟姉妹の場合は、配偶者が4分の3を相続し、被相続人の兄弟姉妹は残りの4分の1を相続することとなります。

さいごに

このように、遺言書の内容が遺留分を侵害するような不当な遺言だと思う場合は、まず遺言書の内容を確認し、有効な遺言であるならば遺留分侵害額の請求を行い、無効な遺言の場合は法定相続分に従うという流れとなります。
遺言書や相続に関するご相談は永田町司法書士事務所までお問い合わせください。

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