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分割協議が終了したあと、別の内容が書かれた遺言が出てきた場合どうしたらいいのか



分割協議が終了したあと、別の内容が書かれた遺言が出てきたケース


遺産分割協議書・相続手続終了後に遺言書が発見された場合

亡くなられた方(被相続人)に相続人が複数いる場合、その相続人全員で遺産分割協議を行う必要があります。
相続は遺言書の内容が優先されますので、遺言書に記載された内容をもとに遺産分割協議を行うことになります。では、遺産分割協議が終了し、協議に基づく相続手続もすべて終了してから、新たに遺言書が発見された場合は、どうすればよいでしょうか?

まずは遺言書の検認手続を行う

新たに発見された遺言書が被相続人の直筆で書かれた遺言書の場合は、開封せずに家庭裁判所に「検認」という作業をしてもらうことになります。
この検認をしない限り、相続手続を行うことはできないことになっています。
また、遺言書を発見した人が家庭裁判所の検認手続きを行わずに遺言の執行をしたり、封印された遺言書の中身を勝手に開けた場合は、罰則があり、5万円以下の過料に処せられますので、注意が必要です。

遺言書検認にあたり注意点

更に、その遺言書を自分に都合が悪い内容だからという理由によって、破り捨ててしまったり、自分が不当な利益を得ることを目的に書き換えたり、隠してしまった場合には、相続欠格に該当してしまい相続人となることができなくなります(民法891条5号)ので、遺言書を見つけた場合は、速やかに所定の手続きを行う必要があります。
ちなみに、発見された遺言書が「公正証書遺言」と言って、公証人役場において認証を受けた遺言書であった場合には、検認を受ける必要はありません。
ただし、後から出てきた遺言書が法律的に無効である場合は、遺産分割協議の内容で相続をすることになります。
法律には遺言書の書き方などにも細かな規定がありますので、その規定で書かれた遺言書でなければ、無効となってしまうのです。

遺言書と遺産分割協議の内容が抵触している場合

後から出てきた遺言書の内容が遺産分割協議の内容と抵触する場合、その抵触する遺産分割協議の部分については撤回されたことになり遺言書の内容に沿って相続します。
被相続人は自分の財産を自由に処分する権利がありますので、遺言書の記載のとおりとなるわけです。
さらに、後の遺言書の内容が、推定相続人の廃除だった場合、遺言執行者から家庭裁判所に推定相続人の廃除を請求をすることとなり、請求が認められた場合は、廃除された推定相続人は相続人の権利を失うことになります。逆に生前に推定相続人の廃除がされており、遺言書にその廃除の取消しが記載されていた場合、遺言執行者から家庭裁判所に廃除の取消しの請求をすることとなり、廃除が取り消されれば廃除されていた者は相続人となります。

その他、遺言書の内容に、子を認知する旨の記載があった場合や、死後認知があった場合には新たに相続人が現れるということになるわけですが、この場合は先に行われた遺産分割協議の内容が優先されます。ただし、遺言書によって認知された子や死後認知された子は、価額のみによる支払の請求権を有します(民法910条)ので、認知を受けた子から請求があった場合には適切な金額を支払うこととなります。

さいごに

このように、一旦相続が終了し、新たに遺言書が出てきた場合、問題が複雑化するケースがありますので、遺産分割協議を行う前に、他に遺言書が存在しないかをしっかりと確認をする必要があります。
遺言書、相続手続に関するご相談は永田町司法書士事務所までお問い合わせください。

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