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相続が発生したが遺言書が見つからない!こんな場合どうすればいいの?

遺書が見つからない!こんな時どうする?


遺言書が見つからない場合

亡くなられた人(被相続人)が生前遺言書を書いていたかどうかわからない、または、書いていたはずだが、家中どこを探しても見つからない。
このようなケースは意外と多いのではないでしょうか。
愛する方が亡くなられて、ただでさえ悲しみに暮れているなかで、お葬式などの手配をしなければならない。そんな中で、遺言書がないとなると、相続の内容をどのようにすればいいのかさらに困惑することでしょう。
このような場合、どのようにすれば良いのでしょうか。

遺言書がないからといってすぐに遺産分割は厳禁

まず、遺言書がない、、、とすぐに諦めてはいけません。
もし、遺言書が見つからないから、ということで、相続人全員で遺産分割協議を終え、それぞれの相続分等が決定したあとで、遺言書が見つかり、その内容が遺産分割協議とは全く異なっていたとなれば大変なことにもなりかねないのです。そのため、できる限り手を尽くして探す必要があります。

公正証書遺言がないか公証役場を調べる

遺言書が、公証役場において公正証書遺言を作成したことがわかっている場合は、公証役場に20年は保管されており、20年経過していても、遺言者が生きている間は保管されていることがほとんどなので探し出すことは比較的簡単です。
例えば、どこの役場で公正証書遺言の手続をしたのかわからない場合であっても、公証役場は全国の情報を一括で管理していますので、照会することが可能です。
必要な書類として、照会を行う相続人本人の、被相続人(遺言者)との繋がりがわかる戸籍謄本と、被相続人が死亡したことを証明」する戸籍謄本と本人確認書類となっています。

自筆証書遺言の場合は捜索困難となる

しかし、ご自身で書かれた遺言書(自筆証書遺言)の場合だと、公正証書遺言とは異なり見つけるのは少し困難となります。
被相続人本人が生前、大切な場所として保管に使っていた場所や、銀行の貸金庫、または親しい友人にまで確認を取ることが大事です。それでも見つからず、遺産分割協議が成立した後に遺言書が出てきた場合、その遺言書が法律的に有効なものである場合、原則として既にした遺産分割協議は無効になり、新たに遺産分割協議を行う必要があります。
なお、現在では、自筆証書遺言を法務局で保管してくれる、自筆証書遺言書保管制度という制度がありますので、遺言者がこちらの制度を利用していれば、遺言書が見つからないという事態は避けることができるでしょう。

遺産分割を行った後に遺書を発見した場合

例外的に、遺言書が後から見つかったとしても、共同相続人全員が、既にした遺産分割協議の内容で構わないと納得してる場合や、被相続人から遺贈を受けた受遺者が同意をしている場合には、遺産分割協議を再度やり直す必要はありません。
しかし、被相続人が、遺言内容と異なる遺産分割を禁止している場合や、相続人のうちに廃除された者がいる場合には、遺産分割協議をやり直す必要があります。被相続人が、遺言で遺言執行者を選任している場合には、遺言執行者は被相続人の意思にそって遺言を実現していくので、遺言書と異なる遺産分割協議をしていた場合にはやり直す必要性が高くなります。

検認が必要なものと不要なもの

ちなみに、遺言書の保管者又はこれを発見した相続人は,遺言者の死亡を知った後,遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して,その「検認」を請求しなければなりません。
なお,公正証書による遺言のほか,法務局において保管されている自筆証書遺言に関して交付される「遺言書情報証明書」は,検認の必要はありません。
なお、遺産分割協議が成立した後に、法律的に有効な遺言書を発見し、共同相続人の中の1人でも、先に行われた遺産分割協議の内容に不服がある場合は、再度遺産分割協議を行うこととなります。

さいごに

いかがでしたでしょうか。本日は遺言書が見つからない場合の捜索場所等ご紹介させていただきました。
遺言に関するご相談や、遺産承継業務、相続についてのご相談は永田町司法書士事務所までお問い合わせください。

本記事の著者・編集者

司法書士法人永田町事務所

債務整理・商業登記全般・組織再編・ファンド組成などの業務等を幅広く取り扱う、加陽 麻里布(かよう・まりの)が代表の司法書士事務所。
【保有資格】
司法書士登録証

会社法人登記(商業登記)の

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