株主総会継続会って何。役員重任(就任)手続だけ先行したい場合!継続会の要件、記載方法を紹介。コロナで急増中
株主総会継続会って何。役員重任(就任)手続だけ先行したい場合!継続会の要件、記載方法を紹介。
変化する株主総会の在り方
日本では多くの法人が3月決算を採用しております。
新型コロナウイルスの影響で密になる行事が避けられるようになった昨今では、3月決算の株主総会の開催に疑義が出る状況が続いております。
その様な中、2020年度、梶山経済産業大臣からも「株主総会の延期や継続会の開催も含め、例年とは異なるスケジュールや方法とすることを検討して欲しい」との談話も発表されました。
この中で「継続会」という単語が出たため、今回は継続会についてご紹介したいと思います。
継続会とはなにか
株主総会は、延期または続行することができます(会社法317条)。
株主総会を続行する場合は継続会と呼ばれます。
続行とは
続行とは一度株主総会について招集し、成立し、議事がスタートした場合で審議が未了となった事項について改めて審議をすることになります。
継続会は、当初の株主総会と一体となるものですので、改めて招集通知を発送する必要もありません。例えば、総会中に地震がおこり、避難する必要がある場合などに行われることを想定したものであります。この場合、議場で株主にその可否を図る必要があります。
計算書類が間に合わないときに利用する
今回、梶山大臣が継続会をと言った意味はどういうことでしょうか。
新型コロナウイルスの影響で一番、株主総会での審議が遅れそうなものは計算書類です。
決算の作業が遅延することは勿論、上場企業では会計監査も必要です。さらに、将来の予測等が必要になってくる場合もあります。計算書類作成に余裕を持たせるために、「継続会」という言葉が出てきたと考えられます。
最初から招集通知に計算書類を入れずに、継続会にすることをあらかじめ宣言してしまうことも一つの手法と思われます。ちなみに、過去の継続会の例でも決算が固まらないということで継続会になることはあったようです。
役員就任(重任)だけ先にさせて計算書類承認は後
役員選任(重任)手続だけを先(4月)に行い、計算書類だけは後(5月)に行うということが可能です。企業によっては、役員重任等含めた機関設計変更を直ちに行いたいというニーズもあります。「重任」というのは任期満了→就任なので、定時株主総会でしか概念できないものです。
そのため「臨時」総会では行わない。「定時」総会で行いたい。けど、計算書類はまだ出来ていないため承認不可。定時株主総会を2回ひらくわけにもいかない…
そんなときに「継続会」を利用することにより解決することが出来るのです。
継続会で任期満了となるわけではないの?
3末決算の会社が6月30日に予定とおり株主総会を開催するが、計算書類は間に合わないため継続会を7月30日に開催した例でお話します。
上述したとおり、継続会は、当初の株主総会と一体となると説明しました。
この考え方をとれば、役員任期は定時総会終結時ですので、7月30日重任と考えられますが、当初の株主総会における決議により、当初の株主総会の時点において改選期にある役員等の任期が満了するものとして、当該役員等を再任する決議を得た場合の役員等の変更の登記の登記原因は「6月30日重任」となると考えられます。
つまり、株主総会の議事録に「改選期にある役員等の任期が当初の株主総会の時点で満了す
る旨」及び「その後任を選任した旨」が記載されている必要があると考えられます。これがなければ、6月の定時総会で選任しても7月の継続会終了により任期満了となり7月30日重任となります。
継続会とするには
先の株主総会で、「継続会」を行うことについて議場に「続行」の可否を図る必要がございます。
株主総会議事録への記載方法
「継続会」をするためには、先の定時株主総会で下記のような文言を入れる必要がございます。
継続会の承認についての記載方法(第一会)
株主総会議事録の末尾の締めの文
上記文面を下記に変更する。
その可否を諮ったところ、満場異議なくこれに賛成したので、、本総会を休会する旨を述べ、10時30分に閉会を宣した。
なお、先の株主総会議事録のタイトルは「第○期定時株主総会議事録(第一会)」などにし、継続会は「第○期定時株主総会議事録(第二会)」とする。
継続会(第二会)の議事録への記載方法
議事録の冒頭「議事の経過及び報告」の文面を変更する。
上記文面を下記に変更する。
役員変更先行させる場合の記述
役員選任議案の文言を下記のように記載する。
役員選任を先行させる場合は、上述のとおり選任決議の文面中に、「改選期にある役員等の任期が当初の株主総会の時点で満了する旨」及び「その後任を選任した旨」を記載する必要がございます。
さいごに
いかがでしたでしょうか。様々な場面を想定し法律はつくられております。
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