単元株とは何か?議決権制限の仕組みと、実務で押さえるべき設計ルール
単元株(単元株式数)
単元株とは、株式会社が一定数の株式を一単元として定め、その単元ごとに株主総会における議決権を行使させる制度です。
単元株の定めがある株式会社では、一単元に満たない株式しか保有しない株主は、株主総会において議決権を行使することができません。
本稿では、単元株の基本構造から、実務上の注意点までを整理します。

単元株とは何か
単元株とは、
一定数の株式をまとめて「1個の議決権」を行使できる単位として、定款で定める制度です。
単元株の定めがある会社では、
・一単元に満たない株式しか保有しない株主
・いわゆる「単元未満株主」
は、株主総会において議決権を行使することができません。
たとえば、
・単元株式数:10株
・株主Aの保有株式数:3株
この場合、株主Aは議決権を持たず、株主総会の招集通知も送付されません。
単元株制度の法的根拠と基本構造
会社法では、単元株について次のように規定されています。
・株式会社は、一定数の株式を一単元として定めることができる
・一単元につき1個の議決権を行使できる
・単元株式数には上限がある
この制度の本質は、
株主総会における意思決定を、一定規模以上の株主に集約する点にあります。
株式が細分化しすぎると、
議決権行使・招集・管理コストが過度に増大するため、
その調整弁として単元株制度が設けられています。
種類株式ごとに単元株式数を変えることはできるか
種類株式発行会社では、
株式の種類ごとに、異なる単元株式数を定めることが可能です。
例えば、
・普通株式:100株を1単元
・A種類株式:10株を1単元
といった設計も認められています。
この仕組みを使えば、
・経済的権利(配当・残余財産)
・議決権の実質的影響力
を組み合わせて調整することが可能です。
もっとも、
「議決権に差をつけること」自体が目的である場合には、
属人的株式の利用を検討した方が、設計として合理的なケースも少なくありません。
単元未満株主の権利はどこまで制限できるのか
単元未満株主は議決権を行使できませんが、
それ以外の株主権がすべて否定されるわけではありません。
会社法では、
一定の権利については、単元未満株主であっても必ず保障される仕組みが設けられています。
具体的には、
・残余財産の分配を受ける権利
・株式無償割当てを受ける権利
・単元未満株式の買取請求権
・一定の場合の取得対価の交付を受ける権利
などは、原則として排除できません。
単元株制度は、
「少数株主を排除するための制度」ではなく、
議決権行使の単位を調整する制度である点は、実務上重要な理解ポイントです。
単元株式数には上限がある
単元株式数は、自由に何株でも設定できるわけではありません。
法律上、
・絶対的上限
・発行済株式数に応じた相対的上限
の双方が設けられています。
単元株式数の上限は1,000株及び発行済株式の数の200分の1となります。
そのため、
・一律に2,500株を単元とする
・発行済株式数に比して過度に大きな単元株を設定する
といった設計は許されません。
定款変更や組織再編の場面では、
現在の発行済株式数を前提に、単元株式数が上限を超えていないかの確認が不可欠です。
単元未満株式をめぐる2つの請求制度
(1)単元未満株主からの買取請求
単元未満株主は、
会社に対して自己の単元未満株式を買い取るよう請求することができます。
これは、
「議決権を行使できないまま株式を保有し続ける不利益」
を緩和するための制度です。
(2)会社からの売渡請求(定款の定めがある場合)
一方で、定款に定めがある場合には、会社側から単元未満株主に対して、
・単元に不足する株式を
・会社が売り渡すよう請求する
ことも可能です。
これにより、
・単元未満株主を整理する
・株主構成をシンプルにする
といった実務的効果が期待できます。
単元株式数は登記事項である
単元株式数は、商業登記の登記事項です。
そのため、
・単元株の新設
・単元株式数の変更
・単元株の廃止
を行った場合には、効力発生日から2週間以内に、管轄法務局への登記申請が必要となります。
定款変更だけで手続が完結するわけではない点は、実務で見落とされやすいポイントです。
単元株の設定・変更に必要な決議
(1)原則:株主総会の特別決議
単元株の設定・増加は、
原則として定款変更事項であり、株主総会の特別決議が必要です。
(2)例外:取締役決定で足りる場合
ただし、次のように
株主の議決権が実質的に減少しないケースでは、
株主総会決議を要しない場合があります。
・単元株の廃止
・単元株式数の減少
・株式分割と同時に単元株を設定・増加し、各株主の議決権が減らない場合
この判断を誤ると、
決議欠缺や登記却下につながるため、制度趣旨に基づく慎重な検討が必要です。
本コラムのまとめ
単元株は、
・株主総会の運営
・議決権の設計
・株主構成の整理
に直結する、極めて実務的な制度です。
「昔からそうなっているから」ではなく、現在の株主構成・経営方針に照らして、
単元株式数が適切かどうかを定期的に見直すことが、会社法実務における重要な視点といえるでしょう。
手続きのご依頼・ご相談
本日は、単元株とは何か?議決権制限の仕組みと、実務で押さえるべき設計ルールについて解説しました。
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