登記申請手続(各種)

商業登記において「定款の添付」が必要になる場面の実務整理

商業登記で定款添付が必要となる場面

商業登記の申請において、定款は常に添付が必要な書面ではありません。
一方で、登記原因や決議方法が“定款の定めを前提として成立している場合”には、
定款そのものが根拠資料となり、添付が求められます。

本稿では、定款添付が必要になる登記を条文の有無ではなく、実務判断の視点から整理します。

定款添付が求められる基本的な考え方

定款が登記の添付書面として求められるのは、次のような場合です。
・登記原因となる行為が
・定款の定めに基づいて初めて適法になる
・又は、定款の内容を確認しないと適法性を判断できない

この場合、定款は単なる参考資料ではなく、登記原因の成立を裏付ける直接の証拠になります。

代表取締役の互選を行った場合

取締役会非設置会社において、代表取締役を取締役の互選で定める場合、その互選自体が定款に根拠を持つ行為です。
したがって、互選で代表取締役を選定したという事実だけでは足りず、互選を認める定款の定めが存在することを確認する必要があります。

この確認のため、代表取締役の互選による就任登記では、定款の添付が求められます。

役員の任期満了退任が登記原因となる場合

役員変更登記では、退任原因が「辞任」なのか「任期満了」なのかで、添付書面の構成が変わります。
任期満了を登記原因とする場合には、役員の任期が定款でどう定められているかが問題になります。

ただし、株主総会議事録に「任期満了により退任する」旨が明確に記載されている場合には、定款を添付しなくても足りる整理がされています。
一方で、記載内容からして、議事録だけでは任期の根拠が読み取れない場合には、定款の添付が必要になります。

解散・清算人関係の登記

会社の解散や清算人・代表清算人の就任登記では、清算人会の設置に関する定めなど、定款の内容が登記実務上の判断材料になります。
そのため、
・解散
・清算人就任
・代表清算人就任
といった一連の登記では、定款の添付が必要となるケースが一般的です。

株主名簿管理人の設置

株主名簿管理人の設置登記では、単に「誰を管理人にしたか」だけでなく、
定款上、その設置が認められているかが問題になります。

このため、
・定款
・株主名簿管理人を定めた書面
・管理人との契約関係を示す書面
といった書類と併せて、定款の添付が求められます。

書面決議(みなし決議)を用いた場合

取締役会の決議を、会社法上の書面決議(みなし決議)で行う場合、その方法自体が定款の定めを前提としています。
したがって、書面決議を登記原因とする場合には、書面決議が可能である旨の定款規定を確認するため、定款の添付が必要になります。

「定款の特別の定め」を使った登記

商業登記では、法律の原則とは異なる方法を採る場合、その根拠が定款に置かれていることが多くあります。
たとえば、
・非公開会社において
・株主割当による株式発行を
・取締役会決議で行う場合
などが典型です。
このような登記では、定款の特別の定めがなければ登記原因自体が成立しないため、定款の添付が不可欠になります。

株主総会の定足数を軽減している場合

株主総会の定足数について、法律上の原則よりも軽減した定めを置いている場合、登記実務では出席状況との関係が問題になります。

法定の定足数を満たしている場合
→ 定款添付は不要

定款で軽減した定足数を前提に成立している場合
→ その定めを証明するため、定款の添付が必要

という整理になります。

本コラムのまとめ

商業登記における定款添付の要否は、この登記原因は、定款の定めを前提として成立しているかという一点で判断するのが実務的です。
定款がなければ適法性を説明できない登記、定款の特別の定めを使っている登記では、定款は不可欠な根拠資料となります。
この判断軸を持っておくと、案件ごとに定款添付の要否で迷う場面が大きく減ります。

手続きのご依頼・ご相談

本日は、商業登記において「定款の添付」が必要になる場面の実務整理をおこないました。
会社法人登記(商業登記)に関するご依頼・ご相談は、司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。

本記事の著者・編集者

司法書士法人永田町事務所

商業登記全般・組織再編・ファンド組成・債務整理などの業務を幅広く取り扱う、加陽 麻里布(かよう・まりの)が代表の司法書士事務所。
【保有資格】
司法書士登録証

会社法人登記(商業登記)の

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