合同会社の登記手続 / 吸収分割

合同会社の持分を会社分割で承継させる場合の実務、定款変更・持分譲渡契約・登記手続

会社分割で合同会社持分を承継する際の注意点

会社分割によって合同会社の持分を承継させる場合、形式的には「社員が変わる」ことになります。
ただし、会社分割は万能ではなく、必ずしも分割契約だけで権利義務が移転するわけではありません。

・株式会社株式の承継→譲渡承認・株主名簿の名義書換が必要
・賃貸借契約の承継→譲渡転貸禁止特約があれば、賃貸人の承諾が必要

これと同様に、合同会社の持分を会社分割で承継する場合も、効力発生日までに必要な手続を並行して行う必要があります。

合同会社側で必要な手続

会社分割による承継に伴い、合同会社側で必要となるのは以下の手続です。

1.定款変更(社員に関する規定)にかかる総社員の同意
2.持分譲渡の合意
3.新代表社員による職務執行者の選任
4.業務執行社員および代表社員の変更登記

通常の持分譲渡と同様の処理が必要となります。

定款変更に関する留意点

社員が1名のみで、その社員が持分を全て譲渡する場合でも、社員に関する定款変更が必要とされています。
法務局の回答によれば、同意書には「定款変更日」を記載すべきとのことでした。

・実務上は、会社分割契約書に定款変更事項を併せて記載する方法も考えられます。
・また、出資金については「新社員の出資はゼロか?」という疑問がありますが、結論としては旧社員の出資額をそのまま新社員の出資額として定款に記載する取扱いが適切とされています。

持分譲渡契約の位置づけ

会社分割の場合の「持分譲渡契約」に相当するものは、吸収分割契約書で足ります。
ただし、法務局からの指導として、承継資産に加えて「持分が譲渡される日」を記載する必要があるとされています。
本来は効力発生日に権利義務が一括承継されるため、改めて日付を明示しなくても足りるはずですが、登記実務上は日付を記載するよう求められています。

本コラムのまとめ

・合同会社の持分を会社分割で承継する場合も、定款変更・持分譲渡合意・職務執行者選任・登記といった通常の持分譲渡に準じた手続が必要。
・社員1名であっても定款変更の同意は必要とされる。出資金額は旧社員の額をそのまま記載する。
・持分譲渡契約は吸収分割契約書で足りるが、登記実務では譲渡日を明記することが求められる。

手続きのご依頼・ご相談

合同会社の持分を会社分割で承継させる場合の実務について解説いたしました。
会社法人登記(商業登記)に関するご依頼・ご相談は、司法書士法人永田町事務までお問い合わせください。

本記事の著者・編集者

司法書士法人永田町事務所

商業登記全般・組織再編・ファンド組成・債務整理などの業務を幅広く取り扱う、加陽 麻里布(かよう・まりの)が代表の司法書士事務所。
【保有資格】
司法書士登録証

会社法人登記(商業登記)の

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