合同会社の登記手続

合同会社の資本金増加(増資)と社員追加の手続き、登記が必要なケース・不要なケースを整理

合同会社における出資と社員

合同会社に新たな資金を入れる方法は、借入ではなく出資によるものです。
合同会社では、社員(持分を有する者)は必ず出資をしていなければならないため(会社法604条3項)、新しい社員を迎える場合には必ず出資を伴うことになります。

登記が不要なケース

株式会社と異なり、合同会社では出資があっても登記を要しない場合があります。例えば、

・既存社員が出資し、全額を資本剰余金に計上する場合
新たな出資者が社員となるが、出資金を全て資本剰余金に計上し、かつ業務執行社員や代表社員にならない場合

このような場合でも、総社員の同意書や変更後の定款を整備しておくことが望まれます。

出資と社員の関係

合同会社では、出資者は必ず社員として加入します。
「出資はするが社員にはならない」という仕組みは原則ありません。
経営参加させたくない場合は、業務執行社員・代表社員に選任しない、また定款の同意事項を制限するなどの工夫が必要です。

増資の手続きの流れ

1.総社員の同意
定款に別段の定めがない限り、総社員一致で増資を決定し、定款変更を行う。

2.出資の履行
金銭出資の場合は会社口座に振込む方法が一般的。現物出資も可能。

3.業務執行社員の決定
出資金のうち資本金に計上する額を、業務執行社員の過半数同意で決定。
資本金額によって登録免許税が変わるため、慎重な設計が必要。

4.登記申請
効力発生日から2週間以内に申請。

登記が必要となる典型例と添付書類

① 既存社員が出資して資本金を増加する場合

必要登記
資本金変更登記
添付書類例
・総社員の同意書
・業務執行社員の決定書
・払込み証明書
・資本金計上証明書
登録免許税
増加する資本金の額 × 1000分の7(最低3万円)

② 新たな社員が出資し、業務執行社員・代表社員になる場合

必要登記
資本金変更登記+役員変更登記
添付書類例
・定款
・総社員の同意書
・業務執行社員の決定書
・就任承諾書
・払込み証明書
・資本金計上証明書
登録免許税
・資本金変更分→増加額 × 1000分の7(最低3万円)
・役員変更分→1万円(資本金1億円超の会社は3万円)

実務上の注意点

・資本金を大きく増やすと将来の減資手続きが煩雑になるため、計上額は慎重に検討。
・許認可要件で「資本金要件」がある場合は、資本金に振り替える必要がある。
・出資履行の証明方法(金融機関振込記録等)を整備し、登記申請時に不備が出ないよう準備する。

本コラムのまとめ

・合同会社の増資は、総社員の同意 → 出資履行 → 業務執行社員の決定 → 登記申請の流れ。
・登記不要なケースもあるが、資本金や社員構成に変更が及ぶ場合は登記必須。
・添付書類と登録免許税のルールを理解しておくことが、スムーズな手続きのポイントです。

手続きのご依頼・ご相談

本日は、合同会社の資本金増加(増資)と社員追加の手続き、登記が必要なケース・不要なケースについて解説いたしました。
会社法人登記(商業登記)に関するご依頼・ご相談は、司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。

本記事の著者・編集者

司法書士法人永田町事務所

商業登記全般・組織再編・ファンド組成・債務整理などの業務を幅広く取り扱う、加陽 麻里布(かよう・まりの)が代表の司法書士事務所。
【保有資格】
司法書士登録証

会社法人登記(商業登記)の

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