金銭債権を現物出資する際の弁済期取扱いと擬似DESとは?
金銭債権を現物出資する場合の登記取扱い
金銭債権を現物出資とする場合で、会計帳簿を添付するケースについて、登記実務では、添付書類から弁済期が到来していないことが明らかな場合を除き、登記を受理される扱いがなされています。
したがって、弁済期が到来していることを証明する必要まではないということになります。
また、弁済期の有無が添付書類から明らかな場合でも、弁護士・公認会計士・税理士等の専門家の証明書を添付すれば登記は受理されるという整理になっています。
債権の特定方法
実務上、債権を特定する方法としては、以下のように記載されました。
「年月日債務承認契約に基づく債務者××(年月日△△に吸収合併)の債権者○○に対する借入金債権」
債務者が当会社であることが特定できればよく、記載方法には一定の幅があり最終的に法務局が受理できるかが判断基準となります。
擬似DESとは?仕組み
登記の論点から少し離れますが、近年「擬似DES」と呼ばれるスキームが増えているとされています。
通常のDES
債権を現物出資することで会社の債務が消滅する。
擬似DES
①まず株主が現金出資で増資を行う
②会社に入った現金で会社が株主への借金を返済する
→結果として「債務が資本に転換された」のと同じ状態になる。
形式的には通常の増資ですが、最終的な効果がDESと似ているため「擬似DES」と呼ばれます。
擬似DESを利用する理由
擬似DESでは一度現金を用意する必要がありますが、最終的には株主に返済されるため、一時的な資金調達で実行可能です。
実務で用いられる理由としては、
・税務上の不利益を避けるため
・本来のDESでは課税上の問題が生じる場合でも、擬似DESなら回避できるケースがある。
と言われています。もっとも、詳細は税務の専門分野に属するため、実行時は税理士等の専門家への確認が不可欠です。
本来のDES(Debt Equity Swap)の税務上の問題
DESを行うと、債務者(会社)側と債権者(株主)側で次のような税務上の扱いが生じます。
・会社側(債務者)
借金が資本に変わるため「債務免除益」が生じたとみなされ、法人税の課税対象になる場合があります。
・株主側(債権者)
債権の帳簿価額と発行株式の時価との差額について、譲渡損益の認識が必要となります。
このため、場合によっては 「お金は一切動いていないのに課税が発生する」 という事態が起こりえます。
擬似DESの仕組み
擬似DESでは、
・まず株主が現金出資で増資を行い、会社に資金が入る。
・その資金を会社が株主への借入金返済に充てる。
形式上は「増資+返済」であり、債務免除益が発生しません。
結果的に貸付金が株式に置き換わったのと同じ状態になりつつ、課税関係を回避できるのがメリットです。
注意点
・擬似DESを使えば「常に税務問題が解決する」というわけではありません。
・実際には、資金移動の有無、返済の実態、時価評価など、細かい税務判断が絡みます。
・国税庁の通達や判例で明確に擬似DESの取扱いが体系化されているわけではなく、個別の事案ごとに税理士・会計士の確認が必須です。
本コラムのまとめ
・金銭債権を現物出資する場合、会計帳簿の添付があれば弁済期到来の証明は不要。
・弁済期が未到来でも、専門家証明書を添付すれば登記は受理される。
・債権の特定は「契約日」「債務者・債権者」「債権の内容」が分かれば足りる。
・税務上の対応として「擬似DES」が活用されることがある。
手続きのご依頼・ご相談
本日は、DESにおける弁済期と擬似DESを解説いたしました。
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