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合同会社は出資金を全額資本準備金に計上することが可能?株式会社との違いについて!準備金と剰余金の違いなど解説



合同会社は出資金をすべて資本準備金に計上しても良い?


株式会社における出資金の取り扱い

合同会社が出資金をすべて資本準備金に計上しても良いのかという論点の前に、合同会社と似た出資の仕組みを持つ株式会社における資本制度について確認しておきましょう。
株式会社では株主が出資したお金は、原則として資本金になります。資本金は株式会社が経営を行うための原資です。
ただし、資本金として出資された額のうち、2分の1を超えない限度で資本準備金に計上することが認められています。経営にすぐに使わないお金を新たな事業を始めたい時やなんらかの経営トラブルがあった時のためにプールしておくような目的です。
あくまでも資本金の性格を持ちますから、資本準備金から株主に配当するようなことは認められません。出資の払い戻しに等しく、会社の資本を食いつぶすタコ足配当になってしまいます。
配当として分配できる原資は、資本剰余金です。企業が資本取引を行ったことで生じる剰余金で、すべての剰余金から、将来に備えた貯金的な性質を持つ利益剰余金を差し引いた部分です。

合同会社の出資の取り扱いについて

合同会社では、出資金をすべて資本準備金に計上できるかですが、そもそも合同会社には資本準備金という概念がありません。また、利益準備金の定めもありません。
つまり、将来に備えて一定の額をプールしておくという性質の準備金は計上する必要がないのです。
合同会社では出資額を資本金としていくら計上するかを、経営を担う業務執行社員が自由に決められます。
資本金と充てなかった金額は、すべて資本剰余金に計上されます。極端な話ですが、出資額のすべてを資本剰余金に計上し、資本金ゼロの合同会社を設立することも理論上は可能です。

株式会社と合同会社の性質と考え方の違い

株式会社と合同会社で異なる資本金制度が適用されるのは、出資者と経営者の関係の違いが大きく影響しています。株式会社では株主は出資を行い、株主総会で意見を反映させることはできても、会社の経営は取締役に任せることが必要です。一方、取締役が経営に失敗して倒産することになれば、出資した額を失うリスクを負っています。
そのため、会社法上は、すぐに資本金を食いつぶしてしまわないよう、厳格な制度が採られているのです。

これに対して、合同会社は出資者でもある業務執行社員が経営を担います。出資者=経営者の構造であるため、出資額をどのように使うかは自由に決めることが可能です。
また、資本金額は登記事項であり、資本金の額に1,000分の7を乗じた金額を登録免許税として納めなくてはなりません。そのため、費用を抑えるために、大部分を資本剰余金に計上することも少なくありません。

まとめ

本日は合同会社は出資金を全額資本準備金に計上することができるのかということについて解説しました。
合同会社は資本準備金という概念はなく資本剰余金に全額計上することが可能というお話をさせていただきました。
株式会社や合同会社に関するお手続きについては永田町司法書士事務所までお問い合わせください。


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