相続、遺産承継業務

【ケース別解説】夫から妻へ家の名義変更する際の費用・手続・注意点を解説

不動産の名義変更をパターン別に解説

不動産の名義を夫から妻へ変更する機会は、相続、生前贈与、離婚による財産分与など、人生の節目に多く発生します。しかし、それぞれのケースによって必要な手続や費用、注意点が大きく異なります。本記事では、名義変更の典型的な3パターンをケース別に解説し、名義変更にかかる登記手続や税金、必要書類について詳しくご紹介します。

名義変更が必要となる代表的な3つのケース

ケース 名義変更の原因 主な登記手続 税金の発生 特記事項
相続 夫の死亡に伴う相続 相続登記 相続税 令和6年4月より相続登記は義務化
生前贈与 夫から妻への贈与 所有権移転登記 贈与税・不動産取得税 配偶者控除あり(最大2000万円)
財産分与 離婚に伴う財産分与 所有権移転登記 譲渡所得税(特定条件) 離婚協議書・公正証書の作成推奨


① 相続による名義変更

手続の流れ
1.遺言書の有無確認
2.遺産分割協議書の作成
3.必要書類の収集
4.相続登記申請
5.登記完了

必要書類
・戸籍一式(被相続人・相続人全員)
・相続関係説明図
・固定資産評価証明書
・遺産分割協議書(または遺言書)

費用目安

項目 内容
登録免許税 固定資産評価額の0.4%
相続税 基礎控除超過分に課税(最大55%)
司法書士報酬 3~12万円程度

※相続登記は令和6年4月より義務化されており、申請遅延には過料(最大10万円)が課されます。

② 生前贈与による名義変更

手続の流れ
1.贈与契約書の作成(書面推奨)
2.登記申請書の作成
3.必要書類の収集
4.所有権移転登記申請

必要書類
・贈与契約書
・登記識別情報通知
・印鑑証明書(贈与者)
・住民票(受贈者)
・固定資産評価証明書

費用目安

項目 内容
登録免許税 固定資産評価額の2.0%
贈与税 110万円超過分に最大55%課税
不動産取得税 固定資産評価額×3%(条件による軽減あり)
司法書士報酬 2~9万円程度

※婚姻期間20年以上の夫婦間で居住用不動産を贈与する場合、贈与税の配偶者控除(2000万円)適用可能。

③ 財産分与による名義変更(離婚時)

手続の流れ
1.財産分与協議書または公正証書の作成
2.登記申請書の作成
3.必要書類の収集
4.所有権移転登記申請

必要書類
・登記申請書
・離婚協議書 or 公正証書
・登記識別情報
・印鑑証明書・住民票・評価証明書

費用目安

項目 内容
登録免許税 固定資産評価額の2.0%
譲渡所得税 利益が出た場合(特別控除あり)
司法書士報酬 2~9万円程度

※住宅ローン残債がある場合、金融機関の承諾が必須。勝手な名義変更は契約違反になるため要注意です。

名義変更にあたっての注意点

・相続登記は義務:令和6年4月以降、3年以内の登記申請が必須。
・住宅ローン残債がある場合:名義変更には金融機関の承諾が必要。
・贈与と分与の違いに注意:贈与では贈与税、分与では原則非課税(ただし形式的な離婚には課税されるケースも)。
・配偶者居住権の活用:名義変更とは別に、亡き夫の不動産に妻が居住する権利を登記することも可能。

専門家に依頼するメリット

名義変更は、ご自身で手続可能な場合もありますが、法務局への書類提出や税務処理が絡む複雑なケースでは、専門家への依頼が望ましいです。特に不備があった場合、修正や再申請に時間がかかるだけでなく、税務上の損失が発生することもあります。

手続きのご依頼・ご相談

不動産登記・相続登記・会社法人登記(商業登記)に関するご依頼・ご相談は、司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。



本記事の著者・編集者

司法書士法人永田町事務所

商業登記全般・組織再編・ファンド組成・債務整理などの業務を幅広く取り扱う、加陽 麻里布(かよう・まりの)が代表の司法書士事務所。
【保有資格】
司法書士登録証

会社法人登記(商業登記)の

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